著者
嶽本 あゆみ 前原 弘法 渡邉 敏晃 伊東 繁
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.50, 2008 (Released:2008-08-29)

音速を超える速度で伝播する圧力の波である衝撃波は、きわめて高い圧力を瞬間的に負荷することができる。水中衝撃波の場合は秒速およそ1300メートル、圧力は数百メガパスカルから数ギガパスカルに及ぶ。伝播速度が速いために、対象物に圧力が負荷されるのは、一瞬である。 また、衝撃波は伝播する媒体物質の密度境界面においてスポーリング破壊を引き起こす。媒体物質に入射した衝撃波は、密度差面で音速を保ったまま衝撃波として通過する透過波と、音速以下の速度となり反射する膨張波とに分かれる。衝撃波がこのように透過波と膨張波とに分かれる際に、密度差面では負圧力が生じ、引っ張り力によってスポーリング破壊と呼ばれる高速破壊現象を引き起こす。植物においては細胞質と細胞壁との密度境界面や、細胞組織に含有される気泡の膨張が原因で細胞壁の一部がスポーリング破壊を受けると考えられる。 衝撃波を野菜や果物などの食品に負荷することで、スポーリング破壊が細胞や組織に作用し、軟化作用を引き起こす。また衝撃波の圧力負荷時間がきわめて短時間なため、熱変成を生じず食品は非加熱の状態で軟化する。本発表では、衝撃波の強さと軟化効果について報告する。
著者
嶽本 あゆみ 田邊 俊朗
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.41, pp.18, 2019

<p>【緒言】 液体原料からシリカガラスを合成するゾル-ゲル法は、加熱を経ず室温で実施できる簡易な実験である。試薬計量ならびに混合という単純な操作、触媒による生成物の比較、加水分解反応と脱水縮合反応の理解、遊色効果の観察に基づく光の干渉の理解、最終的な生成物からの収率計算と、一つの実験系を用いて学生の到達目標毎の課題を与えることができる。合成したシリカガラスが沈殿し確認できるまでにはやくとも二週間程度を要するが、連続した実験授業の中で長期休暇の前後に組み込む等、計画的な授業構成により対応可能である。</p><p>今回は高専本科一年の実験授業において触媒による生成物の比較を試みながら、宝石オパールの遊色効果や昆虫の翅の構造色などの解説を行った。</p><p>【方法】 沖縄工業高等専門学校生物資源工学科本科一年生の専門必修科目である「バイオテクノロジー基礎実験」において、オルトケイ酸エチル. エタノール, 精製水の混合[1]における加水分解反応(式1)の触媒として、アルカリ試薬(アンモニア、水酸化ナトリウム)ならびに酸試薬(酢酸、リン酸、塩酸)の中から班ごとに 1 種類を選び、混合操作を実施した。6 週後の同授業において、生成物の観察ならびに収率計算を行った。なお、本実験の反応式は下記の通りである。</p><p>(式 1) Si(C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>O)<sub>4</sub>+4H<sub>2</sub>O→Si(OH)<sub>4</sub>+4C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>OH</p><p>(式 2) Si(OH)<sub>4</sub>→SiO<sub>2</sub>+2H<sub>2</sub>O</p><p>【結果ならびに考察】 アンモニア触媒では生成物から遊色効果が確認されたがゲル化は進んでいなかった。水酸化ナトリウム触媒では透明なゲルが生成され沈殿していた。酸触媒は 3 種類ともに 6 週後時点ではゲルが生成されていなかったが、17 週後に酢酸触媒を用いた 2 班の片方の液全体がゲル化していることが確認された。アルカリ条件下ではコロイダルなゾルが、酸性条件下ではポリメリックなゾルが生成され、これらは加水分解時の水の量にも影響を受ける[2]。今回の結果に基づき、アルカリ触媒と酸触媒とで混合比が異なるプロトコルの準備、酸触媒での触媒量と合成期間について、今後検討が必要である。</p>
著者
尾田 太良 嶽本 あゆみ
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.341-357, 1992-12-30 (Released:2009-08-21)
参考文献数
13
被引用文献数
22 26

第四紀古海洋復元のための基礎研究として, 日本列島太平洋側海底の表層堆積物中の浮遊性有孔虫遺骸群集を調べ, 表層水塊との関係を検討した. この結果に基づき, 四国沖, 遠州灘沖, 房総沖および鹿島灘沖の4海域より採取したコアの浮遊性有孔虫化石群集の垂直的分布から, 過去2万年間の黒潮の流路の変遷を推論した.20,000~16,000年前には, 西南日本沖の黒潮の流路は現在より南にあり, 四国沖や遠州灘沖では冷水塊が頻発していた. 15,000~14,000年前には, 黒潮は西南日本沖で南に大きく蛇行し, 黒潮前線は房総沖にあった. その時期には四国沖や遠州灘沖で冷水塊が発生していた. その後, 11,000年前までに西南日本沖では黒潮の影響が強くなった. 房総沖と鹿島灘沖では, 11,000年前頃短期的な寒冷化があった後, 急速に温暖化した. 10,000~9,000年前には黒潮の流軸は本州に近づき, 黒潮前線も北に移動しはじめた. 9,000~6,000年前には黒潮はさらに西南日本に接近し, 黒潮前線は6,000年前に最も北上した. 5,000年前以降, 黒潮は西南日本沖で現在の流路に近づいたが, 4,500~1,500年前には, 房総沖や鹿島灘沖で冷水塊が発達していた.