- 著者
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横尾 俊成
- 出版者
- 学校法人 関西学院大学先端社会研究所
- 雑誌
- 関西学院大学先端社会研究所紀要 (ISSN:18837042)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.1-16, 2019
本稿は、渋谷区の「同性パートナーシップ条例」の制定過程を事例に、地方自治体の政策転換における、SNSを用いた社会運動のフレーミング効果を実証的に分析するものである。この条例の制定過程において、活動家の影響を受けて議員がつくり出したフレームと活動家によるフレーム形成、さらに、議員が設定したフレームに従って行われたTwitterでのハッシュタグを用いた運動とインターネット署名運動は、区長や行政職員、議員の判断に影響を与えた。またその際、SNSには、運動への動員効果よりむしろ、議員などに対して新たな解釈の枠組みをつくり出すフレーミング効果が認められた。その結果、議会の最大会派が条例に好意的でなかったにも関わらず、政治的対立が回避され、区長のイニシアティブで条例が制定されるというスムーズな政策転換が可能となった。本稿の検証により、フレームの設定とその拡散が、当事者や潜在的な賛同者の存在を可視化しつつ、自治体の政策過程に影響を与えることが立証された。