著者
原 以起 奥野 圭太朗 奥野 卓司
出版者
学校法人 関西学院大学先端社会研究所
雑誌
関西学院大学先端社会研究所紀要 (ISSN:18837042)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-105, 2019 (Released:2019-09-08)

「未来社会」の予測を、従来の社会科学的方法、社会調査による方法以外に、大量のテキスト・データの解析によって行うことは、果たして可能であろうか。筆者らは、テキストマイニングのソフトウエアを使う方法が、どの程度、社会科学として有用性がありうるのかを検証するために、実際にそれを試験的に試み、この方法に一定の有用性を確認することができたので、本稿で報告する。本稿でテキストマイニングの対象としたのは、小松左京のSF作品『虚無回廊』である。これは、この作品が、ある程度科学的根拠にもとづいて創作されており、作品中に多用されている「AI(人工知能)」および「マン・マシン・インタラクション」が将来的に社会に大きな影響力をもつであろうと推定されたからである。このため、この2技術に関連したキーワードを核に、この作品をテキストマイニングし、この作品内での社会におけるその技術の位置づけ、人間との関係性を抽出し、その紐帯図をKJ法とブレーンストーミングにより検討することで、「未来社会」のありようを解読した。その結果、今回は社会科学的な「未来社会」像の提示ということでは不十分と言わざるをえなかったが、この研究方法自体は間違ってはいないと判定できた。本稿では、その「方法論」を提示する。