- 著者
-
渡辺 洋子
政木 みき
河野 啓
- 出版者
- NHK放送文化研究所
- 雑誌
- 放送研究と調査 (ISSN:02880008)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.6, pp.2-31, 2019
ニュースメディアの多様化が政治ニュース接触や政治意識に及ぼす影響を検証するためNHKが2018年に実施した全国世論調査を元に分析を行う。▼最も多くニュースに接するメディアは性、年層などで異なり「新聞」「NHK報道」「民放報道」「民放情報番組」「Yahoo!ニュース」「LINENEWS」などに分かれる。▼このメインメディア別にみると①「新聞」「NHK報道」がメインの人は政治ニュースに自発的、積極的に接触し、接触頻度や政治への関心、投票意欲が高い。②「Yahoo!ニュース」「民放報道」がメインの人は中程度の態度、③「民放情報」「LINENEWS」がメインの人は政治ニュースの接触態度が受け身で、接触頻度、政治への関心、投票意欲が低い傾向にある。「LINENEWS」がメインの人は「Yahoo!ニュース」がメインの人に比べ情報源を気にする人が少ないなどネット系メディア利用者の間でも差がある。▼政治への評価や個別課題の賛否でもメディア別の差がみられたが、あるメディアをメインに使う人が政権の打ち出す政策に対し一貫して肯定的だったり、保守的傾向が強かったりといった一定の方向性はうかがえなかった。政治的意識の違いを生み出しているのはメディア利用だけではなく、性、年層、支持政党なども影響していると考えられる。ただし、情報接触態度の違いが接触する政治情報の量や質の差を広げ、将来政治的態度の差を拡大する可能性は考えられる。