- 著者
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川原 布紗子
吉田 拓矢
野中 愛里
谷川 聡
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.70, pp.253_3, 2019
<p> 本研究は、状況判断の有無による方向転換動作への影響を明らかにすることを目的とした。男子大学サッカー選手12名を対象とし、状況判断を伴った方向転換走 (RAT) およびRATと同様の走路における状況判断を伴わない方向転換走(CODT) を実施し、タイムおよび方向転換前後1歩ずつにおけるキネマティクスを検討した。タイムは方向転換を含む5-13m区間において、CODTがRATよりも有意に早かった。身体重心速度は、身体重心速度最下時点においてCODTが有意に高かった。身体傾斜角度においては、矢状面で差が認められなかった一方で、前額面においてCODTは方向転換前に有意に内傾していた。これらの結果は、CODTは前後方向にはRATと同様の傾きを保持しながら、方向転換前に内傾することで高い速度を維持した減速が可能であったと考えられる。また、股関節では、身体重心速度最下時点においてCODTが有意に伸展位であった。加えて、方向転換足接地時点から身体重心速度最下時点までの股関節角度の変位量においてCODTでは伸展量が大きかった一方で、RATでは屈曲量が大きい結果となった。これらの結果は、状況判断を伴うことで減速における下肢関節の働きが異なる可能性が示唆された。</p>