- 著者
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山口 拓
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.70, pp.329_3, 2019
<p> 1991年の東西冷戦構造の終焉によって期待された世界平和の願いは、各地の被支援者が抱える開発課題に切り込むなど、多様な支援事例を増加させた。その際、これまで着手されなかった多くの取り組みが導入された。「スポーツを通じた開発(IDS)」もその一つである。</p><p> 現在、加速度的な成長を遂げるIDSであるが、文化要素を多く含むスポーツを通じた開発を検討するには、文化接合の諸現象を明らかにした上で支援効果の議論を重ねていく必要がある。しかし、幾つかの研究は散見されるものの、スポーツの文化接合に関する研究は極めて少ない。またUNESCOは、古典的なIDSである体育の新たな概念「質の高い体育(QPE)」を打ち出して国際的な支援を開始しているが、応用論的な議論に留まり、その世界展開を考察する際に行なわれるべき文化接合、或いは、その基盤となる文化史研究の蓄積に着手できていない。</p><p> そこで本研究では、フランス及びカンボジアの公文書図書館に所蔵されている史料を分析し、近代教育導入前期(1925年)のカンボジアに関する教科体育の文化史を叙述した。</p>