- 著者
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髙橋 美奈子
谷部 弘子
本田 明子
- 出版者
- 現代日本語研究会
- 雑誌
- ことば (ISSN:03894878)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.72-89, 2019
<p>日本語が「第三者言語」として使用される機会が増えている現在、第三者言語接触場面における実証的な研究の必要性は高い。本稿では、実態と意識との乖離が指摘されているジェンダー規範を取り上げ、日本語学習者がどのようなジェンダー規範意識をもっているのかについて、相手言語接触場面と第三者言語接触場面を比較し明らかにする。分析に使用したデータは、留学生の日常談話データおよび意識を明らかにするための半構造化インタビューである。結果として、学習者は来日前から日本語のジェンダー規範についての知識があり、規範を肯定的にとらえていた。しかし、実際の言語使用においては、意識と異なり、規範にとらわれない自由な言語使用がみられた。中には、第三者言語接触場面より相手言語接触場面での方が日本語のジェンダー規範を順守しようとする言語使用もあった。学習者のもつ規範意識と実際の言語使用との複層性にどう向き合うか、日本語の教育に携わる者の意識が問われている。</p>