著者
斎藤 広志 小尾 尚貴 山田 祐子 竹内 大樹 兼岩 淳平 多田 智顕
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.F-25, 2020

<p>【はじめに】超音波検査は体表から触知できない深層を可視化でき、患者へ与える負担が少ない検査法である。 今回肩挙上時に疼痛を訴える肩関節周囲炎患者に対して、理学療法評価に超音波診断装置を用いて機能評価、治療介入を行った症例を経験したので報告する。</p><p>【症例】40代女性。2018年12月更衣動作で受傷し、右肩関節周囲炎と診断。</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に沿い発表目的を説明し同意を得た。</p><p>【初期評価】右肩ROM自動屈曲100°他動屈曲160°外転90°であった。整形外科的テストはNeer Test陽性。上腕骨頭の超音波動態評価で、肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。Horizontal Flexion Test 陰性であった。肩甲胸郭機能はElbow Push Test陽性。 MMTは肩甲骨外転・上方回旋3肩甲骨下制・内転3であった。JOAスコア67点であった。</p><p>【理学療法経過】超音波動態評価で肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。また、結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。評価上から肩甲胸郭関節機能障害を認めた。以上評価結果から肩甲胸郭関節機能障害から肩峰下インピンジメントが生じていると判断して、肩甲胸郭関節機能に対し理学療法を実施した。理学療法プログラムは前鋸筋トレーニング、小胸筋ストレッチ、側臥位で肩関節外転運動を実施した。 4週間理学療法を実施し、右肩ROM自動屈曲175°外転170°に改善した。Neer Test陰性、超音波動態評価の肩関節外転時の肩峰と大結節の衝突も消失した。MMTは全項目で改善を認めた。肩挙上時痛消失し、JOAスコア97点と改善した。</p><p>【考察】超音波動態評価から上腕骨頭の動態を可視化することで、肩甲胸郭機能に対しての治療を立案でき、疼痛と可動域が改善したと考える。</p>

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肩インピンジメントに対するリハビリ ✅肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突 ✅結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差なし ✅肩甲胸郭関節機能障害あり ✅肩甲胸郭関節機能障害から肩峰下インピンジメントが生じていると判断して、肩甲胸郭関節機能に対し理学療法を実施 https://t.co/3pMrKpuxbG

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