著者
大下 優介 八木 敏雄 平林 幸大 石川 紘司 江黒 剛 逸見 範幸
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.752-756, 2020

2013年6月に富士山が世界遺産に登録されて以降訪日観光客が増加しそれに伴い救急受診される症例臨床の現場で経験される.しかし,旅行者がどのような病態で受診されているのかの詳細な報告は無い.本研究の目的は,訪日旅行客の受診内容を調査し,今後の対策を検討する事である.2015,2016,2017年度に当院に受診された訪日旅行客をretrospectiveに調査した.それぞれの年度に受診された患者総数は154人,149人,171人であった.平均年齢は36歳(0-89)であり,男性223人・女性251人であった.受診時間は平日の一般診療時間内が205人(43.2%)であり,269人(56.8%)は夜間や休日祝日の受診であった.受診の原因となった疾患は感冒などの内科系疾患が168例,骨折や脱臼などの外傷が166例,膀胱炎や尿路結石などの泌尿器科系疾患が22例,不正性器出血などの婦人科疾患が21例で,小児科受診が64例であった.また来院時CPAが1例にあった.近隣住民であれば翌日まで経過を見ることも可能な症例も旅程のため,夜間の受診を余儀なくされている状態であった.一般的に入院精査を行っていたと考えられる症例も移動の予定などのため再診予定も立てられず応急処置のみとなっている症例もあった.海外からの訪日外国人の受診状況を調査した.夜間休日であっても,さまざまな疾患で受診されておりGeneralistとしての対応が求められている現状であった.今後さらに外国人旅行者が増えると考えられ,その対策は急務である.

言及状況

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富士山が世界遺産に登録されたことにより生じた影響について調べている。 入山者数の変化や周辺地域の経済効果、環境面など、あらゆる影響を調べたい。

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