著者
阪本 英二
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.180-193, 2006

「存在論的問い」は,とりわけ質的心理学において必要とされている。この点で,清水論文「遊びの構造と存在論的解釈」(2004,質的心理学研究,3,pp.114-129)がこの方法論を提起しそれを試みたことは,大いに評価すべきである。本論文は,今後心理学においてこの方法論が進められることを見越して,清水論文に対して以下のようなコメントと質問を提出するものである。①清水論文で導入された構造概念の整合性を検討するために,ロムバッハ(Rombach, 1971/1983)の構造概念を補足説明し,質問を提出する。②清水論文において存在論的解釈の意味するところが不明確であり一部誤解があることを指摘し,「遊び」が存在論的に問われているかを検討する。一方で清水自身の素朴な遊び了解に基づいて解釈されている点があることを指摘し,「実存論的分析論」(Heidegger, 1927/1994)という別の問い方の可能性を検討する。③その具体的方法として,遊びそのものが生き生きと生成される可能性のある「現象学的記述」を検討する。④最後に,心理学の領域で存在論的解釈が導入される際に生じうる問題について議論し,今後の展望を素描する。

言及状況

外部データベース (DOI)

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●清水武「遊びの構造と存在論的解釈」『質的心理学研究』3(1)、2004年。https://t.co/eu2QNTEeJF ●阪本英二「存在論的解釈についての対話:清水論文(2004)に対するコメントとして」『質的心理学研究』5(1)、2006年。https://t.co/VyT20u3xbk

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