- 著者
-
谷本 道哉
- 出版者
- 公益社団法人 埼玉県理学療法士会
- 雑誌
- 理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.3-9, 2020
<p>体幹トレーニングとして,体幹の剛体化を目的としたプランクが行われることが多い。体幹屈曲筋・伸展筋の筋力トレーニングとして活用されることもある。また,腹横筋の活動促通を目的としたドローインもよく行われる。しかし,プランクでは実際には体幹を剛体化させるBracingも腹圧の上昇もしていない。また,そもそも多くの競技動作では体幹は固定させるよりも,大きく動作して力学的仕事を行っており,これらから考えるとプランクの意義を見出しにくい。ただし,反証データもあるが,プランクの実施による競技パフォーマンスの向上を認める報告もある。そのメカニズムは明確ではないが,選手にとって効果を実感できるのであれば,プランクの実施はプラスとなるかもしれない。また,ドローインには腹横筋の筋活動の促通効果が腰痛患者において認められる。ただし,腹横筋の筋活動レベルは競技動作そのもののほうがドローインよりもはるかに高い。競技動作を十分に行える身体機能を有する競技選手においては,ドローインを行う意義は薄いかもしれない。プランクやドローインの意義には不明確な部分があるが,体幹の機能から考えて,体幹動作の強い筋力と大きな可動性を有することが重要であることはおよそ間違いないであろう。これらの機能改善には,体幹屈曲筋・伸展筋の筋力トレーニングと体幹の可動性獲得の動作トレーニングが有用となるだろう。</p>