著者
秋山 正子
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.53-65, 2020

<p>第3期がん対策推進基本計画の全体目標の一つ,尊厳をもって安心して暮らせる社会の構築は「がんとの共生」と表現され,次の分野別施策が示された。①がんと診断された時からの緩和ケア②相談支援,情報提供③社会連携に基づくがん対策・がん患者支援④がん患者等の就労を含めた社会的な問題⑤ライフステージに応じたがん対策の5つである。</p><p>英国で1996年に誕生したマギーズキャンサーケアリングセンターをモデルとしたマギーズ東京が2016年に日本にできるまでを紹介し,従来の形ではなく新しい方法を取り入れて,今のがん医療で取り残されてきていた相談支援を,病院以外で行うことの意義を,開設後3年間の実績を踏まえて紹介をした。それはまさに協働的意思決定(シェアードディシジョンメーキング)支援の場になっている。</p><p>この活動によって,当事者である患者や家族のみでなく,関わる専門職も,短時間で,情報提供し答えを出さねばという呪縛から解放されていく様子を見せて貰っている。これは,看護の実践の場として,ケアの質を維持し,モチベーションを高めていくことにも繋がり,今後はこの実践現場からの結果を,情報発信していくことも重要となろう。</p><p>予約なし,相談料無料,そして全てがチャリティによって運営されていると言うこと自体もチャレンジャブルである。建築と環境にも心を配られたマギーズセンターは,医療のみならず異分野からも着目されている。</p>

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