著者
下條 満代 照屋 晴奈 島内 梨沙 天久 亜衣奈
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.9, pp.52-65, 2020

小中学校の通常学級に在籍する多くの児童生徒が学習上または生活上の支援を必要としているとされている。太田・井上・金(2018)は,日本における SLD傾向のある児童生徒へ指導・支援方法を典型化して課題を明らかにした。しかしながら,いまだ通常学級において,支援を要する児童生徒は増加している。そこで本研究では,諸外国におけるSLD傾向のある子どもに対する指導・支援に関する文献を収集し,その傾向について明らかにすることを目的とした。その結果,先行研究において日本では指導・支援の中心が,児童生徒にとって学習しやすくする事前の工夫を行うものであるのに対し,諸外国では学習自体を楽しむための児童に対する心理面へのアプローチや,多様な感覚を通して学べるようにする等,学び方の工夫が中心となっていることが明らかとなった。このように,個の特性に応じた学習方法の提供や児童生徒のモチベーションを上げる等の心理面へのアプローチを伴う指導・支援は,SLD傾向の児童生徒だけでなく,学習意欲のない児童生徒や不登校など,様々な背景をもった子どもに対して効果的な指導法となりうるのではないか。そして,個の特性に応じた学習方法を提供することは昨今求められているインクルーシブ教育の実現に繋がるであろう。

言及状況

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諸外国における限局性学習症(SLD)傾向のある小中学生に対する指導法の分析 : https://t.co/YwSfHwWyBd

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