著者
照屋 晴奈 小原 愛子 矢野 夏樹 權 偕珍 韓 昌完
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
トータルリハビリテーションリサーチ (ISSN:21881855)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-19, 2021

Based on the previous research by Yano and Han (2020), this study conducted a pretest for the development of the "School QOL Scale for Children" to evaluate the school life of children and the reliability and the validity of the scale was verified. As a result, 19 items in 4 areas were set by expert consultation regarding the composition of the scale. Regarding the question items, we asked for opinions on the content of the questions to be asked during the pretest for elementary and junior high school students, but there was no particular opinion. The pretest was conducted from February to March 2021 and 140 data were collected from elementary and junior high school students (recovery rate 100%). Of these, 136 data were analyzed, excluding missing values. In the reliability verification of the scale, the Cronbach's α value was calculated using internal consistency. As a result, the α value of the region was 0.645 to 0.842, and the overall α value was 0.890 and α > 0.700, confirming the reliability. Next, as a result of verifying the validity of the construct using SEM, GFI = 0.839, CFI = 0.883, and RMSEA = 0.072, which are not high goodness of fit. In the future, it will be necessary to conduct an unbiased survey of elementary and junior high school students who will be evaluated by the scale and expand the number of data to be analyzed to re-verify the validity of the constructs that could not be obtained in this study.
著者
太田 麻美子 照屋 晴奈 鳩間 千華
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.9, pp.66-79, 2020

教育の経済効果について検討する「教育経済学」が注目されている。教育経済学は主に人的資本論に基づいており、教育を社会全体の収益を増加させる活動であるとし、スキルや知識の獲得が、長期的な利益をもたらすものであると捉える考え方である(Checchi, 2006)。現在、乳幼児教育の経済効果について検討するために、諸外国において国レベルの政策として縦断研究が進められている。乳幼児教育の成果については、既存の縦断データを基に検討する必要があるが、先行研究において教育経済学の観点から整理し課題をあきらかにした研究は見当たらず、日本においても教育経済学に関する研究は少ない現状である。本研究においては、諸外国における既存の縦断研究に関する情報を収集し分析することで、乳幼児教育における教育成果や経済的効果に関する研究の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とし、先行研究や報告書及びホームページから得られた研究資料の分析をおこなった。
著者
下條 満代 照屋 晴奈 島内 梨沙 天久 亜衣奈
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.9, pp.52-65, 2020

小中学校の通常学級に在籍する多くの児童生徒が学習上または生活上の支援を必要としているとされている。太田・井上・金(2018)は,日本における SLD傾向のある児童生徒へ指導・支援方法を典型化して課題を明らかにした。しかしながら,いまだ通常学級において,支援を要する児童生徒は増加している。そこで本研究では,諸外国におけるSLD傾向のある子どもに対する指導・支援に関する文献を収集し,その傾向について明らかにすることを目的とした。その結果,先行研究において日本では指導・支援の中心が,児童生徒にとって学習しやすくする事前の工夫を行うものであるのに対し,諸外国では学習自体を楽しむための児童に対する心理面へのアプローチや,多様な感覚を通して学べるようにする等,学び方の工夫が中心となっていることが明らかとなった。このように,個の特性に応じた学習方法の提供や児童生徒のモチベーションを上げる等の心理面へのアプローチを伴う指導・支援は,SLD傾向の児童生徒だけでなく,学習意欲のない児童生徒や不登校など,様々な背景をもった子どもに対して効果的な指導法となりうるのではないか。そして,個の特性に応じた学習方法を提供することは昨今求められているインクルーシブ教育の実現に繋がるであろう。
著者
下條 満代 照屋 晴奈 權 偕珍
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
トータルリハビリテーションリサーチ (ISSN:21881855)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.39-50, 2020

In order to form a symbiotic society in Japan and to realize inclusive education, which is an idea to learn together regardless of disability, it is urgent to actively hire teachers with disabilities even at school. However, since research on faculty with disabilities is said to have been conducted since the fiscal year 2019 onward, the actual situation has been investigated. And the current situation and issues regarding the employment of faculty with disabilities are almost unclear.Therefore, in this study, based on the viewpoint of improving the QOL (Quality of Life) of teachers with disabilities, we analyze the previous studies related to the employment of persons with disabilities at schools in Japan, and clarify the current situation and academic issues regarding the employment of teachers with disabilities. As a result of the analysis, many previous studies have been found in the area of "employment stability", but they also point out the current situation and it was revealed that further studies are needed. Moreover, in the "physical and mental health" area and the "life stability" area, there were very few cases applicable, and it became clear that research was not progressing.
著者
船越 裕輝 照屋 晴奈 下條 満代 鳩間 千華
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.8, pp.30-39, 2020

本研究は,学校教育法の改正により,盲・聾・養護学校を特別支援学校へ移行した,2007年から2019年までに発表された研究論文を対象に聴覚障害教育の現状と課題を明らかにする。その観点として,聴覚障害教育におけるインクルーシブ教育推進の課題を観点に明らかにしたい。更に,新学習指導要領における聴覚障害教育の自立活動の現状と課題も明らかにすることを目的とした。その結果,多くの研究で「教師の専門性の課題」が指摘されていた。また,新学習指導要領が目指す「主体的・対話的な深い学び」を推進するためには,聴覚障害教育において自立活動は重要な領域となるが,そこでも教師の専門性の課題があることが分かった。今後,聴覚障害教育現場において,IEATなどの尺度を用いてインクルーシブ推進の現状を客観的に評価しながら,目の前にある課題や成果を明確に評価することが解決の1つに繋がるのではないかと考える。
著者
照屋 晴奈 趙 彩尹 矢野 夏樹 金 彦志
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.7, pp.50-62, 2019

重度・重複障害児への教育は、意思表示や実態把握の難しい等の課題があること、また、新学習指導要領で求められる、子どもたちが「何ができるようになるのか」、資質・能力を育成するために「何を学ぶのか」という、具体的な教育目標を示すことの課題があった。そこで。自立活動の内容とQOL尺度を対応させ、QOLの観点が具体的な教育目標として活用できるのではないかと考えた。新学習指導要領の自立活動6区分27項目に2つのQOL尺度を対応した結果、すべての項目が自立活動の内容に含まれる可能性があることが分かった。自立活動の内容に当てはまらなかったQOL尺度の項目内容として、経済に関する教育と性教育についての課題が示唆された。本研究により、新学習指導要領が実施される今後の教育について、重度・重複障害児への教育はQOL尺度の項目内容が子どもたちへの教育目標として活用できる可能性あることが明らかとなった。
著者
照屋 晴奈 趙 彩尹 小原 愛子 金 珉智
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
トータルリハビリテーションリサーチ (ISSN:21881855)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.61-69, 2019

In special needs education, it is important to consider the psychology, physiology, and pathological aspects of children and students (Kohara, Nakakuroshima, Nagahama et al., 2015). Especially with regard to the education of children with health impairment, it is important to understand and provide educational support, as physiological and pathological diseases such as chronic diseases often affect psychological aspects. Therefore, in this research, clarify the problems of the previous researches on the relationship between “psychology, physiology and pathology” in education of the children with health impairment in Japan from the viewpoint of psychology and physiology and pathology. And also it aimed to become basic research to develop the teaching method based on the relationship. As a result, with regard to practical cases regarding support for children with health impairment and children with chronic diseases, in particular in the field of education and medical care, evaluation based on scientific evidence is carried out for evaluation regarding psychological , physiological and pathological viewpoints. There was no case. In the future, it will be necessary to develop tools that can establish the relationship between “psychology” , “physiology” and “pathology” in sick and chronically ill children. And in the development of the tool, the result of this research is considered to be useful to make the construct.
著者
權 偕珍 太田 麻美子 照屋 晴奈
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-55, 2019

社会における障害理解を促進し共生社会を実現するためには、障害を人間の多様性として捉え、多様な人材を社会で活用するというダイバーシティの観点(日本経済団体連合会, 2002)から障害理解教育を考える必要がある(權・太田, 2018)。また、障害理解は人間理解そのものであり、障害理解の社会的向上を図るために次世代を担う生徒に対する教育が不可欠である(芝田, 2013)ため、次世代の教育者である教員養成課程の学生を対象とした障害理解教育カリキュラムの開発が必要である(權・太田, 2018)。そこで、本研究では、現在カリキュラムの要素として挙げられている理念的領域と方法論的領域の内容を設定する事を目的とする。そのために、①. ダイバーシティ教育の観点に基づく障害理解教育カリキュラムに必要な理念的要素を設定する。また、②. ①で行われた結果を基に、現在日本の国立教員養成大学で行われている障害に関する授業のシラバスを収集し、設定した理念的内容と方法論的内容と対応分析する。
著者
下條 満代 照屋 晴奈 大城 政之
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.6, pp.56-64, 2019

次期学習指導要領(2017年3月公示)において文部科学省は、「社会に開かれた教育課程」を重視すると示し、各学校における「カリキュラム・マネジメント」の確立や、幼・小・中・高等学校の教育課程との連続性を重視した。そこで本研究では「カリキュラム・マネジメント」について文献研究を行い、その観点から特別支援学校と特別支援学級、ついては知的障害者教育の教育課程を中心に、課題について明らかにすることとした。結果として、①カリキュラム・マネジメントの定義及び内容の具体化(体系化)、②特別支援教育における教育課程編成及びカリキュラム・マネジメントの具体化の2点の課題が明らかとなった。特に後者に関し「特別支援学校」「特別支援学級」と大きな枠組みで捉えるのではなく、今後は各教育現場に合わせた教育課程編成及びカリキュラム・マネジメントの内容の具体化を図る必要があると考える。また、知的障害者教育についてはその障害特徴により、より独自性が求められるため現時点の定義や抽象的な内容で述べることが難しい。次期学習指導要領の移行期間である今だからこそ、更なる具体化が早急に必要であることが考えられる。
著者
照屋 晴奈 矢野 夏樹 下條 満代 韓 昌完
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
ジー
巻号頁・発行日
vol.5, pp.53-60, 2018

韓・沼館・呉屋(2018)が開発したScale for Coordinate Contiguous Career (Scale C<sup>3</sup>)は、学校や職場において観察することのできる、対象者の実態把握に関連する評価項目を仮説に基づいて、構造化した尺度である。本研究では、Scale C<sup>3</sup>自己評価用(高校生版)を作成し、Cronbach's α係数を用いて尺度の信頼性の検証を行った。また、得られたデータから生徒の傾向や現時点における尺度の有用性について考察することを目的とした。信頼性の検証結果、全項目及び全領域でα>0.700となり、高い信頼性が確認された。特に全項目においては、α=0.972と非常に高い値となり、尺度全体の信頼性が検証された。また、パス解析を用いた検証にて、「パーソナリティ」から「キャリア」の「人間関係形成能力」「自己理解・自己管理能力」を媒介し、「課題対応基礎能力」「キャリアプランニング能力」に影響を与える可能性があることが示された。カットオフ値についてもその結果から、協力校の生徒の傾向も見ることができた。Scale C<sup>3</sup>を使用し、学校や職場において、観察する対象者の実態を構造的に捉えることのできる可能性があることが示された。今後は、教員の客観的評価ができるScale C<sup>3</sup>を含め、データを増やしカットオフ値の設定や、パス解析にて様々な仮説モデルを検証していくことが求められる。
著者
韓 昌完 沼館 知里 呉屋 光 照屋 晴奈
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education (ISSN:21899185)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-20, 2018 (Released:2018-03-15)
参考文献数
34

高等学校以降の教育機関及び就労後の職場において、障害の有無によらず包括的な支援を必要としている人が増加しているにもかかわらず、自立と社会参加を見据えたキャリア形成に関する支援・指導が体系的に行われているとは言い難い状況が先行研究等から明らかとなった。そこで本研究では、高校生から成人までを対象としたキャリア形成のための評価と継続的支援を行うためのツールの開発を目的とした。すでに開発された小中学校版のIN-Child Recordを用いて、沖縄県内キャリア教育事業の実践取組指定校である3校を対象に縦断的なデータ収集を行い、回答の傾向や変化に基づき項目の修正を行った。さらに、データ収集に参加した1校の高等学校において校長を含めた7名の教員を対象に構造化された質問紙を用いて意見調査を行い、さらに具体的な項目の修正を行った。また、先行研究の分析に基づいて領域、項目の修正を行った。これらを通して、パーソナリティとキャリアの2つの分類から構成される合計100項目の尺度の試案を開発し、それぞれの領域の定義を行った。今後は試案に対する内容的妥当性、信頼性・構成概念妥当性の検証が必要である。
著者
韓 昌完 沼館 知里 呉屋 光 照屋 晴奈
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-20, 2018

高等学校以降の教育機関及び就労後の職場において、障害の有無によらず包括的な支援を必要としている人が増加しているにもかかわらず、自立と社会参加を見据えたキャリア形成に関する支援・指導が体系的に行われているとは言い難い状況が先行研究等から明らかとなった。そこで本研究では、高校生から成人までを対象としたキャリア形成のための評価と継続的支援を行うためのツールの開発を目的とした。すでに開発された小中学校版のIN-Child Recordを用いて、沖縄県内キャリア教育事業の実践取組指定校である3校を対象に縦断的なデータ収集を行い、回答の傾向や変化に基づき項目の修正を行った。さらに、データ収集に参加した1校の高等学校において校長を含めた7名の教員を対象に構造化された質問紙を用いて意見調査を行い、さらに具体的な項目の修正を行った。また、先行研究の分析に基づいて領域、項目の修正を行った。これらを通して、パーソナリティとキャリアの2つの分類から構成される合計100項目の尺度の試案を開発し、それぞれの領域の定義を行った。今後は試案に対する内容的妥当性、信頼性・構成概念妥当性の検証が必要である。