- 著者
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末廣 徹
武田 浩一
神津 多可思
竹村 敏彦
- 出版者
- 行動経済学会
- 雑誌
- 行動経済学
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.S5-S7, 2020
<p>本論文では,心理学的概念である個人のグリット(やり抜く力)をWebアンケート調査によって調査し,個人のグリットの高さと金融行動の関係を分析した.その結果,グリットが高い(やり抜く力が強くて忍耐力がある)ほど,(1)収入が多く,(2)金融資産の保有額も多いことが分かった.また,(3)目的を持って貯蓄をしている(セルフコミットメントを行っている)個人にとってグリットは一段と効果を発揮する(金融資産の蓄積を促す)ことを示した.グリットは後天的に誰もが獲得可能な「やり抜く力」とされ,ビジネスやスポーツにおける個人のパフォーマンスの高さと関係があることから注目されている.日本では老後の金融資産が不足している個人が多数存在することが社会問題となっており,後天的に獲得可能なグリットが金融資産の蓄積を促すという本稿の結論は金融教育や政策運営に資するものである.</p>