著者
北川 真寛
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.257-277, 2020

<p> 高野山(南山)では、『釈摩訶衍論』に関する論義が法会として現在でも続けられているが、総合的な学術研究はほとんどなされていない。論義とは、問答などによって諸宗の教学と真言教学、あるいは真言密教の諸流派や諸山の法門の義理を分別するものであるが、問答を通して自宗の教学がいかなるものかを学ぶ、一種の学修システムとしての側面もある。</p><p> 本論で取り上げる「報身報土」の論義は、釈論西方論義十條中の一題であり、阿弥陀の身土が報身報土か化身化土かを論じる論題である。阿弥陀の仏身仏土論については、すでに中国仏教界において論じられていて、日本においても浄土宗では報身報土、天台宗では化身化土を主張している。</p><p> 真言宗においても、古義・新義を問わず阿弥陀の身土を報身報土と規定しているが、その理由として『釈論』自身や浄土門の教説に依ること、そして天台宗との対弁を主張していることも考えられる。</p>

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CiNii 論文 - 報身報土について ―真言密教の論義書を中心に― https://t.co/yfXDFv65R5 #CiNii

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