著者
丸箸 圭子 山田 晋也 脇坂 晃子 中村 奈美 辻 隆範 大野 一郎 関 秀俊
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.330, 2014

はじめに長期に経管栄養管理されている重症心身障害児(者)のセレン(Se)欠乏症の報告が近年多く見られている。今回徐脈、洞停止を来した4症例に対しSe欠乏症を疑い測定したところ全員血中Se値が低値でありうち3例に対し経管栄養剤を変更しSe値、脈拍数ともに改善したため報告する。症例12歳女児、経鼻胃チューブより育児用ミルクほほえみを投与されていた。入院時よりHR50〜80/分と徐脈傾向であったがある日HR30/分台と低下し、ホルターECGにて3.2秒の洞停止を確認した。アイソカルジュニア® 1.0に変更したところSe値は5.3から8.1μg/dlに上昇しHRも60〜90/分と改善した。症例26歳女児、胃瘻よりラコール®を投与されていた。普段より徐脈傾向、心室性期外収縮認めていたがHR30-40/分台が続きホルターECGにて3.1秒の洞停止を認めた。ACEI、利尿剤の投与量調整に加え、栄養剤をSe含有量の多いメイバランス® 1.0に変更したところSe値は6.2から8.8μg/dlに上昇しHRも60台以上をキープできるようになった。症例315歳女児、PEG-Jカテーテルよりラコール®を投与されていた。普段はHR70-100/分であったが尿路感染症の治療中に徐脈、モニター上HR36/分、心エコーにてLVEF45%と心機能低下も来した。栄養剤をメイバランス® 1.0に変更したところ、Se値は7.4から11.3μg/dlに上昇し以降徐脈も認めていない。症例422歳男性、胃瘻よりラコール®投与され在宅療養している。HR40-50台と徐脈傾向あり精査したところSe値は8.7μg/dlと低値であった。現在経過観察中である。まとめ当院には多くの経管栄養管理中の重症児がおり、Se欠乏症例は多数いると思われる。今後徐脈を含め疑いのある症例があればSe投与量を考慮し対処する必要があると考えられた。

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