- 著者
-
松井 健人
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.5, pp.63-72, 2016
<p>重明親王の日記『吏部王記』と大江匡房の言談集『江談』を用いて考察すると、橘成季による説話集『古今著聞集』における、第三話の「邪気」・第四五話の「火雷天神」・第五九三話の「衣冠着たる鬼」の正体は、すべて菅原道真であることが分かる。巻を越えたこれら一連の説話は連関しており、繋ぎ合せると、一〇世紀に重明親王の付近で語られていたであろう、失われた天神譚の記録として復元できると結論付けた。</p>