著者
本多 倫彬
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1_178-1_200, 2020

<p>民主党政権の外交・安全保障政策は、一般に評判が悪い。しかし、国際平和協力について民主党政権は、ハイチと南スーダンという二つの国連PKOへの自衛隊部隊派遣、東南アジア地域での防衛省・自衛隊による能力構築支援の開始、さらにジブチでの海賊対処を目的に自衛隊初の海外拠点の整備など、従来の枠を超える積極的な試みを行っている。</p><p> それにも係わらず、2011年の自民党への政権交代後、第二次安倍政権が進めた 「積極的平和主義」 に基づく国際平和協力強化の試み、就中、平和安全法制に対して、野党民主党は強固な反対姿勢を示した。これにより、批判者としての印象が先行し、民主党政権期の国際平和協力は正面から検討されることのないままとなっている。</p><p> 本稿は、民主党政権の実施した国際平和協力について、後の自民党政権との相違と共通性に着目して検討を行うことで、国際平和協力における民主党政権の再評価を行った。分析を通じて、民主党政権の役割が、積極的平和主義に基づく国際平和協力の試みの基盤整備にあったことを示すとともに、自民・民主両党の国際平和協力政策の根本的相違は、国際平和協力の考え方にではなく、対米関係の考え方にあることを明らかにした。</p>

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