著者
花木 宏直
出版者
沖縄地理学会
雑誌
沖縄地理 (ISSN:09166084)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.17-32, 2021

本稿は近代沖縄において海外移民の斡旋に従事した主体に注目し,外地への移民や国内出稼ぎの斡旋との関わりを踏まえながら,移民・出稼ぎ送出の仕組みの全体像を明らかにすることを目的した.方法として,沖縄県で最初の業務代理人が就任した1903年から,海外渡航手続きが海外移住組合へ一元化された1940年までを対象とし,外交史料館所蔵「移民会社業務関係雑件」や新聞広告,人名録,案内書などをもとに,送出地域で移住希望者に直接移民斡旋を行った業務代理人や斡旋業者,募集人の動向を検討した.その結果,業務代理人と斡旋業者の属性や,海外と外地への移民,国内出稼ぎの斡旋内容の相違に関わらず,沖縄県外出身の寄留商人や,沖縄県出身の海外・外地・本土への在住や移民関連業務の経験者が従事し,沖縄県も政策的な支援を行い,ハワイ移民から呼寄移民,南米移民,南洋移民,国内出稼ぎへと斡旋内容を変化させながら,近代を通じて存立し続けたことが明らかになった.

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