- 著者
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亀山 統一
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.132, 2021
<p>ホルトノキ萎黄病の病原<i>Candidatus</i> Phytoplasma Malaysianum は、九州・四国の全域でホルトノキ<i>Elaeocarpus zollingeri</i> var. <i>zollingeri</i> 植栽木・自生木のいずれにも高率で感染している。一方、沖縄島では、感染率が本土よりもかなり低い傾向にあり、島北部では感染木は見つからず、島中南部にも感染木が全くない植栽地や林分がある。沖縄島中南部には、本土の感染木同様に、その個体のいずれの葉からもファイトプラズマが容易に検出できる感染木がある一方、個体内の病原密度が明らかに低い感染木が相当数あることが明らかにされた。また、感染木周辺の非感染木について3-5年後に再検査すると、新たにファイトプラズマが検出された個体はわずかであった。一方、石垣島では感染木の分布や個体の感染密度について、沖縄島中南部と同様の傾向が見出されたが、一方で、沖縄島北部と同様に自然度が高い森林がある地域においても、感染木が見出されなかった調査地はなかった。以上の知見をふまえて、沖縄島、石垣島などの琉球諸島と本土における本病病原のファイトプラズマ感染について、地域や個体による相違、また宿主範囲などに着目して比較検討した。</p>