- 著者
-
青木 宏史
- 出版者
- 千葉県農業試験場
- 雑誌
- 千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
- 巻号頁・発行日
- no.22, pp.p37-43, 1981-03
1. トマトの褐色根腐病抵抗性台木を育成するため,野生種トマトLycopersicon hirsutumを導入し,国内産栽培種Lycopersicon escul entumとの種間雑種を育成し,耐病虫性および生態特性を調査した。2. 育成台木の耐病虫性は褐色根腐病,萎ちょう病,TMV,ネコブセンチュウともに優性的に遺伝することが認められ,実用的な抵抗性が確認され市販台木と同等であった。3. 育成台木は市販台木に比較し種子が大きく発芽勢がすぐれた。初期生育も旺盛で接ぎ木苗の獲保が容易であった。4. F1トマト台木の生育は育成台木がいずれも市販台木にまさった。接ぎ木栽培では市販台木と同等の生育を示した。5. 台木トマトの低温伸長性は大きく夜温3℃でも生育し台木間差はあまりなかった。高温時に発生する葉枯症は市販台木にのみ多く育成台木には発生しなかった。6. 接ぎ木トマトの収量および品質は育成台木,市販台木ともに同等のものが多かった。7. 以上から,当場で育成した褐色根腐病ほかに抵抗性の種間雑種台木は実用性がかなり高いと思われ,とくに育成4号,5号および6号が有望と思われた。