著者
内藤 哲雄
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.p71-75, 1990-09

本研究は、母1人子1人の母子家庭の男児が、同性のモデルとして軽度の非行傾向をもつ相手との交友を開始してからの変化についての事例をとりあげ、性役割の獲得と社会化の問題について検討したものである。事例の男児は、出生時からの長期にわたる父親の不在により、母親への強い愛着をもつようになり、父親への愛着形成や同一視ができなかった。お人形遊びや針・鋏を使うのが好きで、幼稚園や保育園にも通園せず、家の中で女児のように遊んでいた。母親は本児が男性的行動をとるように働きかけるのに成功していなかった。このような状況の中で同性モデルとなる軽度の非行傾向をもつ年長者との交友が開始され、この相手への同一視により男性的役割行動と問題行動がみられるようになった。これらの経緯について、父親が子どもの発達に及ぼす影響に関する研究や性的社会化に関する研究による知見を援用し、分析的に考察、論議された。

言及状況

Yahoo!知恵袋 (1 users, 1 posts)

母子家庭の家族システムと快復プロセスに関する縦断研究 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/16530444/2004/3/ja.en.html 性役割と父親不在 家族システムと父親不在:不登校事例にみる家族内性役割の構築 http://www.u-gakugei.ac.jp/~tam/research/gender/ 離婚が子どもと家族に及ぼす影響について ...

収集済み URL リスト