著者
石橋 里美 林 潔 内藤 哲雄
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.218-226, 2022-03-31 (Released:2022-06-30)
参考文献数
29

This is a study that analyzed effects of self-oriented motivate and other-oriented motivate on career development among university students. A questionnaire that was asking "attitude toward self- and other-oriented motivation" and "career resilience" had been carried out to 316 students. And then pass-analysis had been conducted on the result above mentioned questionnaire on the assumption that "attitude toward self- and other-oriented motivation" might affect "career resilience". As a result of the analysis showed that only "integrating self- and other-oriented motivation" affected "novelty and diversity of interests", "optimism about the future", "social skills" and "ability to cope with problems and change" all of which are belong to subscale of "career resilience". A certain result showed that an importance of "integrating self- and other-oriented motivation" in the career development process.
著者
内藤 哲雄
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.129-140, 1994-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究では, 内藤 (1993a) によって開発されたPAC分析の技法を利用することで, 性の欲求や衝動の解発刺激, 欲求の生起にともなう生理的・身体的反応, 心理的反応, 異性や同性への対人行動に関する全体的・統合的な態度 (イメージ) 構造を, 個人別に分析することを試みた。被験者は, 実験者とは初対面の女性で, 専門職職業人1名, 大学生3名であった。また, いずれも未婚で, 交際中の異性と性行為の経験をもっていた。被験者Aの事例では, 恋人への依存欲求と自立への欲求間の葛藤が, 恋愛感情と身体的な性の衝動や反応を分離させるシンデレラ・コンプレックスを示唆する構造が析出された。また, 構造解釈を通じて被験者自身が気づくという現象が見いだされた。被験者Bの事例では, 強い正の報酬価をもつ性行為と性欲求の解発刺激として焦点化した恋人を独占的に占有しようとする欲求とが, 相互に循環的に補強し合う機制が成立していると考えられた。被験者Cの事例は, 性欲求へのマイナスイメージが父親やマスコミからの隠されたメッセージとして伝達され内面化され, 愛する父親や恋人への両価感情を生じ, さらには恋人の要求に流されて性行為を行う自己自身へのマイナス感情を生じているとみなせるものであった。最後の被験者Dの場合には, 友愛が恋愛へと変わり, 破局の危機を修復する手段として性行為が生じる。しかし関係が回復されると, 結婚と性行為に関する信念により再び前段階に押し戻してしまう。強固な規範意識によって進展段階を後戻りしながらも, 恋愛関係が壊れない事例として注目されるものであった。以上の成果を踏まえて, 性の欲求や行動を個人別に構造分析することの意義を検討するとともに, こうした目的にPAC分析を活用できることが明らかにされた。最後に今後の課題として, 男性についても検討するとともに, 恋愛行動の進展段階と対応させたり, 性障害の診断や治療効果測定などへの応用可能性を探っていくことがあげられた。
著者
内藤 哲雄
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.p53-60, 1986-11

言語障害者は、障害自体だけでなく、障害に対する他者の反応を意識することにより、障害が重くなったり、パーソナリティや対人行動に問題を生じやすい。こうした影響は、自我意識が昂揚し、自己や社会への関心がめはえる青年期においてはとくに問題となる。このような特徴をもつ言語障害者に対しては集団心理療法が有効であるが、中学・高校の教育現場の実情から、症状や発生機序別に同質集団を構成することは困難である。また異質な集団であっても、軽度な言語障害の場合かなりの効果が予測できる。このような背景から、本研究では、中学生や高校生で異質な症状や発生機序をもつ、比較的軽度な言語障害者集団を対象として、集団心理療法の効果を検討することが目的とされた。治療は2泊3日の合宿方式とし、対話法、レクリェーション活動、役割活動などの複数の療法を採用した。それらの効果は、レクリェーションでのエピソード、ミーティングでの発言、係活動に関する自己評定、対人行動の自己評定などによって分析された。治療効果は心因性の障害において著明であったが、軽度な障害者を対象としたことによろうが、多彩な言語障害のいずれにも有効であることが確認された。
著者
内藤 哲雄
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.129-140, 1994

本研究では, 内藤 (1993a) によって開発されたPAC分析の技法を利用することで, 性の欲求や衝動の解発刺激, 欲求の生起にともなう生理的・身体的反応, 心理的反応, 異性や同性への対人行動に関する全体的・統合的な態度 (イメージ) 構造を, 個人別に分析することを試みた。<BR>被験者は, 実験者とは初対面の女性で, 専門職職業人1名, 大学生3名であった。また, いずれも未婚で, 交際中の異性と性行為の経験をもっていた。<BR>被験者Aの事例では, 恋人への依存欲求と自立への欲求間の葛藤が, 恋愛感情と身体的な性の衝動や反応を分離させるシンデレラ・コンプレックスを示唆する構造が析出された。また, 構造解釈を通じて被験者自身が気づくという現象が見いだされた。<BR>被験者Bの事例では, 強い正の報酬価をもつ性行為と性欲求の解発刺激として焦点化した恋人を独占的に占有しようとする欲求とが, 相互に循環的に補強し合う機制が成立していると考えられた。<BR>被験者Cの事例は, 性欲求へのマイナスイメージが父親やマスコミからの隠されたメッセージとして伝達され内面化され, 愛する父親や恋人への両価感情を生じ, さらには恋人の要求に流されて性行為を行う自己自身へのマイナス感情を生じているとみなせるものであった。<BR>最後の被験者Dの場合には, 友愛が恋愛へと変わり, 破局の危機を修復する手段として性行為が生じる。しかし関係が回復されると, 結婚と性行為に関する信念により再び前段階に押し戻してしまう。強固な規範意識によって進展段階を後戻りしながらも, 恋愛関係が壊れない事例として注目されるものであった。<BR>以上の成果を踏まえて, 性の欲求や行動を個人別に構造分析することの意義を検討するとともに, こうした目的にPAC分析を活用できることが明らかにされた。<BR>最後に今後の課題として, 男性についても検討するとともに, 恋愛行動の進展段階と対応させたり, 性障害の診断や治療効果測定などへの応用可能性を探っていくことがあげられた。
著者
石橋 里美 林 潔 内藤 哲雄
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.230-237, 2020-03-31 (Released:2020-06-29)
参考文献数
26

This is a study for effect of professionalism on personal growth Initiative among university students who wish to apply for profession. The study was carried out through a questionnaire, that would help to determine preference of professionalism and personal growth initiative, to 224 students who are belonging to first, second and third grader in universities. On the assumption that two factors "altruism" and "autonomy" will effect on personal growth initiative through three factors of mediation "cooperation with coworkers", "learning and development of knowledge and skill" and "qualification", and then pass analyses was conducted. Results of pass analyses showed that preferences for "altruism" could positively effect on "personal growth Initiative" indirectly through "cooperation with coworkers" and "learning and development of knowledge and skills", and indicated that preferences for "autonomy" positively effect on "personal growth initiative" and "learning and development of knowledge and skills" directly.
著者
石橋 里美 林 潔 内藤 哲雄
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.68-75, 2019-07-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
32
被引用文献数
1

This is a study with regard to an effect on personal growth initiative and career exploration through verifying bilateral property of yaritaikoto-oriented (what one hopes to do) university students is having. It was carried out as an inquiry into yaritaikoto-oriented, personal growth initiative conducted to 289 of university students. As a result of factor analysis showed it was composed of two factors both work-yaritaikoto-oriented and life-yaritaikoto-oriented. And conducted study with pass analysis on the assumption that a model that may effect on self-understanding, information gathering and learn from others by career explanation through work-yaritaikoto-oriented and life-yaritaikoto-oriented. The analysis showed work-yaritaikoto-oriented brought positive effect on gathering, learn from others and self-understanding through personal growth initiative, on the other hand life-yaritaikoto-oriented brought negative affection directly on personal growth initiative and learn from others. In conclusion, the importance of fulfilling career support has been proposed based on the results of above-mentioned study.
著者
内藤 哲雄
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.p71-75, 1990-09

本研究は、母1人子1人の母子家庭の男児が、同性のモデルとして軽度の非行傾向をもつ相手との交友を開始してからの変化についての事例をとりあげ、性役割の獲得と社会化の問題について検討したものである。事例の男児は、出生時からの長期にわたる父親の不在により、母親への強い愛着をもつようになり、父親への愛着形成や同一視ができなかった。お人形遊びや針・鋏を使うのが好きで、幼稚園や保育園にも通園せず、家の中で女児のように遊んでいた。母親は本児が男性的行動をとるように働きかけるのに成功していなかった。このような状況の中で同性モデルとなる軽度の非行傾向をもつ年長者との交友が開始され、この相手への同一視により男性的役割行動と問題行動がみられるようになった。これらの経緯について、父親が子どもの発達に及ぼす影響に関する研究や性的社会化に関する研究による知見を援用し、分析的に考察、論議された。