- 著者
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藤井 義晴
- 出版者
- 農業環境技術研究所
- 雑誌
- 農業環境技術研究所報告 (ISSN:09119450)
- 巻号頁・発行日
- no.10, pp.p115-218, 1994-03
- 被引用文献数
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植物対植物のアレロパシーについて調べた。揮発性物質の寄与は小さかった。葉から溶脱する物質の作用の検定法として,ロジスチック生長曲線による解析法,サンドイッチ法を開発し,新たにムクナ,クズ,サトイモ等に活性を見出した。根から滲出する物質による作用の検定法として,階段栽培法,根滲出液循環栽培法,無影日長栽培法を開発し,ムクナ,シロザ,エンバクの作用を検証した。アレロパシーのみを特異的に検定するプラントボックス法を開発し,既報の植物を検定した結果,ムクナ,Vicia属,Avena属等の活性が強かった。圃場規模の検定法として根圏仕切り置換栽培法を開発し,ムクナがイネ科以外の雑草を抑制することを検証した。有力な候補植物ムクナ(Mucuna pruriens)の作用物質として,L-DOPA(L-3, 4- dihydroxyphenylalanine)を同定した。L-DOPAは葉・根の生体重の約1%も含まれていた。その作用機作はLipoxygenaseの阻害であるとの仮説を提示した。