著者
酒井 久治 北野 庸介
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.111-115, 1996-11
被引用文献数
1

漁船における海中転落事故は、海難によらない人身事故のうち、40%を占めている。なかでも、そのほとんどが一人乗りである小型漁船では、操業中や航行中に一度転落すると、本船に追いつくことが困難になり、生存の可能性は僚船に救助される以外、極端に低くなる。したがって、海中転落は、死亡事故に直結するので、小型漁船における海中転落時の救助対策は沿岸漁業の最重要課題の一つであると言える。一方、転落時の救命、救助のための支援対策として、漁労用救命胴衣の改良、エマージョンスーツおよび無線警報式海難救命ヘルメットの開発などがあり、発見されるまでの生存に大きく寄与していると推察される。しかし、どの場合でも、転落時に本船側が無人になるため、燃料切れを生じるまで航走することが考えられる。そこで、乗組員の転落事故が発生した場合、直ちに機関を停止させることができるならば、自力による救命が可能になり、漁業者の死亡事故を減らす近道であると考えられる。本研究では、一人乗り漁船の乗組員が海中に転落したとき、機関を自動的に停止させる装置を試作し、漁業者の救命、救助のための支援装置の開発を目的にしたものである。本論では機関停止装置を用いた海上実験を実施し、その効果を確認したので、装置の概要、実験結果、および若干の知見を報告する。

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