著者
杉浦 広幸 藤田 政良
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.433-438, 2003
被引用文献数
1

エテフォン散布が、露地栽培での夏秋ギクの伸長生長における影響、花芽分化や葉色との関係について調査した。供試したいずれの品種もエテフォン散布区の伸長生長は、散布を受ける期間中は抑制され、その後時間が経過して花芽分化が総包りん片形成期から小花形成期となる時期に速く進み、開花が近くなると停止した。花芽分化抑制のためエテフォン200mg/lの3回散布後1000mg/lを散布したところ、'精雲'と'サマーイエロー'は高所ロゼットになり、その後節間伸長が回復してエテフォン200mg/lの3回散布区と同じ高さに伸長した。摘心とエテフォン散布による伸長生長への影響を調査したところ、無摘心のエテフォン散布区と摘心のエテフォン散布区の生長を比較すると、前者は後者に比べて前半の伸長生長が遅れ、その後短時間で進み草丈は追いついた。また、後者の上部展開葉の葉色が明緑色から濃緑色に変化する時期が、前者に比べて遅延した。以上より夏秋ギクにエテフォンを散布処理すると、散布後直ちに花芽分化、伸長生長および上部葉の濃緑色化を抑制するが、時間経過とともに伸長生長抑制活性は低下し、最終的には草丈の伸長生長を促進した。

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