著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.101, pp.1-22, 2004

2001(平成13)年11月,自衛隊法の一部が改正され,「防衛秘密」保護規定が新設された。同規定は,防衛庁長官の判断であらゆる防衛事項を「防衛秘密」として指定し,これを取り扱う者(民間業者も含まれる)が秘密を漏洩した場合,その者を重刑に処する点,防衛庁長官の秘密指定をチェックする仕組みが何ら存しない点,テロ対策のいわばどさくさ紛れに制定された点等,多くの問題点を有している。このような法令は政府,防衛当局が戦後長年にわたって求め続けてきたものであったが,戦後のわが国における国家(防衛)秘密法制は大きく5期に区分することができる。その歴史は,戦前の国家秘密法令の廃止から日米安保体制の下における新たな国家秘密法制の復活,展開,そして著しい強化へと突き進んできた。今や,防衛情報に関する国民の知る権利はほとんど無きに等しいものとなり,国民はその命運を政府,防衛庁の判断,決定に委ねざるを得ない事態を迎えるに立ち至ったのである。

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