著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.123-130, 2013-03

日本図書館協会の自由委員会は、2004(平成16)年3月、「自由宣言」の『解説第2版』を出版した。そこでは、旧版と比較して、大きな改善がみられる一方で、依然として1979年「自由宣言」に関する必ずしも適切でない、あるいは明らかな誤りと思われる説明が存している。そこで、本小論ではそのような説明のうち、とりわけ見逃すことのできないもの(「国民に対する約束」「知る自由と図書館の自由」「宣言1979年改訂の特徴」「宣言改訂以降の図書館の自由をめぐる問題」「人権またはプライバシーの侵害」)を取り上げ、それらを批判的に考察した。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.1-22, (Released:2004-10-22)

2001(平成13)年11月,自衛隊法の一部が改正され,「防衛秘密」保護規定が新設された。同規定は,防衛庁長官の判断であらゆる防衛事項を「防衛秘密」として指定し,これを取り扱う者(民間業者も含まれる)が秘密を漏洩した場合,その者を重刑に処する点,防衛庁長官の秘密指定をチェックする仕組みが何ら存しない点,テロ対策のいわばどさくさ紛れに制定された点等,多くの問題点を有している。このような法令は政府,防衛当局が戦後長年にわたって求め続けてきたものであったが,戦後のわが国における国家(防衛)秘密法制は大きく5期に区分することができる。その歴史は,戦前の国家秘密法令の廃止から日米安保体制の下における新たな国家秘密法制の復活,展開,そして著しい強化へと突き進んできた。今や,防衛情報に関する国民の知る権利はほとんど無きに等しいものとなり,国民はその命運を政府,防衛庁の判断,決定に委ねざるを得ない事態を迎えるに立ち至ったのである。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.119, pp.221-246, 2010

現在、日本には戦前とは異なって、国家の秘密(外交・防衛等)を包括的に保護する国家秘密保護法は存在していない。しかし、防衛秘密に関してはこれを保護するための規定が、2001(平成13)年11月自衛隊法第96条2に新設された。以来、自衛隊・駐留米軍に関する情報は、情報公開法の存在にもかかわらず、国民やマスメディアから遠ざかる一方である。確かに、「罰則」の対象となるのは、「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者」に限られているが、しかし兵器の部品等を扱っている民間の下請け業者まで入れるとその数は膨大なものになろう。そして、これらの「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者」がそれ以外の「者」に「防衛秘密」を"うっかり<話せば、それだけでその人は1年以下の禁固等に処せられるのである。「防衛秘密」の"聖域化<の下で、言論の自由や知る権利の保障はまさに危機的状況となっている。一体、このような理不尽なことが許されてよいものなのであろうか。極めて疑問である。本図書目録が、国家秘密保護法(制)の研究にとって、多少なりともお役に立つものとなるならば幸いである。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.119, pp.221-246, 2010

現在、日本には戦前とは異なって、国家の秘密(外交・防衛等)を包括的に保護する国家秘密保護法は存在していない。しかし、防衛秘密に関してはこれを保護するための規定が、2001(平成13)年11月自衛隊法第96条2に新設された。以来、自衛隊・駐留米軍に関する情報は、情報公開法の存在にもかかわらず、国民やマスメディアから遠ざかる一方である。確かに、「罰則」の対象となるのは、「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者」に限られているが、しかし兵器の部品等を扱っている民間の下請け業者まで入れるとその数は膨大なものになろう。そして、これらの「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者」がそれ以外の「者」に「防衛秘密」を"うっかり"話せば、それだけでその人は1年以下の禁固等に処せられるのである。「防衛秘密」の"聖域化"の下で、言論の自由や知る権利の保障はまさに危機的状況となっている。一体、このような理不尽なことが許されてよいものなのであろうか。極めて疑問である。本図書目録が、国家秘密保護法(制)の研究にとって、多少なりともお役に立つものとなるならば幸いである。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.101, pp.1-22, 2004

2001(平成13)年11月,自衛隊法の一部が改正され,「防衛秘密」保護規定が新設された。同規定は,防衛庁長官の判断であらゆる防衛事項を「防衛秘密」として指定し,これを取り扱う者(民間業者も含まれる)が秘密を漏洩した場合,その者を重刑に処する点,防衛庁長官の秘密指定をチェックする仕組みが何ら存しない点,テロ対策のいわばどさくさ紛れに制定された点等,多くの問題点を有している。このような法令は政府,防衛当局が戦後長年にわたって求め続けてきたものであったが,戦後のわが国における国家(防衛)秘密法制は大きく5期に区分することができる。その歴史は,戦前の国家秘密法令の廃止から日米安保体制の下における新たな国家秘密法制の復活,展開,そして著しい強化へと突き進んできた。今や,防衛情報に関する国民の知る権利はほとんど無きに等しいものとなり,国民はその命運を政府,防衛庁の判断,決定に委ねざるを得ない事態を迎えるに立ち至ったのである。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学人文学会紀要 = Bulletin of the Society of Humanities Kanto Gakuin University (ISSN:21898987)
巻号頁・発行日
no.134, pp.105-121, 2016

自由民権運動の闘士・植木枝盛が,1881(明治14)年夏に起草した日本国国憲案は,周知のように国民(人民)主権,徹底した人権保障,連邦制等を採用し,「ブルジョア民主主義の極致を行く独創的な案」として高く評価されている。現行の日本国憲法にも影響を与えたとされる,この日本国国憲案の原本はすでに亡失しているようであるが,今日,毛筆写本2本と活版印刷本1本の,計3種の異本が伝わっている。本校訂では,これらの異本と同案の草稿本である「日本國憲法」とを厳密に比較考証し,条文の脱漏や脱字を補正するとともに,固有名詞等の明らかな誤字を訂正し,また大日本帝国憲法を参考に文言を統一して,日本国国憲案の,いわば完成校といえるものを提示した。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.101, pp.1-22, 2004

2001(平成13)年11月,自衛隊法の一部が改正され,「防衛秘密」保護規定が新設された。同規定は,防衛庁長官の判断であらゆる防衛事項を「防衛秘密」として指定し,これを取り扱う者(民間業者も含まれる)が秘密を漏洩した場合,その者を重刑に処する点,防衛庁長官の秘密指定をチェックする仕組みが何ら存しない点,テロ対策のいわばどさくさ紛れに制定された点等,多くの問題点を有している。このような法令は政府,防衛当局が戦後長年にわたって求め続けてきたものであったが,戦後のわが国における国家(防衛)秘密法制は大きく5期に区分することができる。その歴史は,戦前の国家秘密法令の廃止から日米安保体制の下における新たな国家秘密法制の復活,展開,そして著しい強化へと突き進んできた。今や,防衛情報に関する国民の知る権利はほとんど無きに等しいものとなり,国民はその命運を政府,防衛庁の判断,決定に委ねざるを得ない事態を迎えるに立ち至ったのである。
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.109, pp.177-232, 2006

本研究文献目録は,大正デモクラシー期を中心に活躍した軍事評論家・水野広徳に関する諸資料を収録したものである.作成の目的は,近代日本を代表する平和主義者でありながら,ほとんど忘れられた存在になっている水野とその思想の全貌を解明するための資料を書誌の形で研究者,市民に提供することである.ここでは,諸資料を「著作の復刻等」「研究書・伝記」「小説・エッセイ」「書誌」「辞典・事典」「年表」「論文の復刻」「雑誌論文・記事」「雑誌小説」「新聞記事」「ホームページ」の11項目に分類し,各項目中は--「雑誌小説」=著者(名)別・年月日順,「新聞記事」=新聞別・年月日順,「ホームページ」=URLのアルファベット順である以外は--それぞれ(原則として)出版年順に排列した.収録した資料は,1945(昭和20)年11月から2006(平成18)年10月まで(ただし,「新聞記事」に関しては1984[昭和59]年8月から2006[平成18]年11月中旬まで)に出版(発行)されたものとした.なお,「ホームページ」については2006(平成18)年11月2日時点でのURLを記した.本研究資料目録が,水野研究の進展に些かなりとも寄与できるものとなるならば幸いである.
著者
中村 克明
出版者
関東学院大学文学部人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.128, pp.73-86, 2013

平和的生存権(平和に生きる権利)は,1962(昭和37)年に星野安三郎によって提唱された"新しい人権"である.平和的生存権の法的性格・意味内容に確立した学説は存しないが,この権利の中核に徴兵制の否定があることは大方の承認するところである.国民を強制的に軍隊に徴収し,一定期間,軍事訓練させ,戦争に備えるための徴兵制が,人命・人権尊重の観点からはもとより,平和主義その他の諸点からみても,野蛮で非人道的な制度であることは明白である.今日,軍隊を有する国家において,徴兵制廃止の動きがみられるのも,当然のことといってよいのである.そもそも軍隊は,その目的が何であれ,"破壊と殺戮"を本務とする戦争のための暴力装置である.軍隊は平和を保障するものではなく,戦争を保障するものである.軍隊の保有と徴兵制の制定を望む勢力が現在,政財界において中枢を占めるに至っているが,この制度の復活は国際的潮流に逆行するだけでなく,我が国が戦後培ってきた民主主義体制を崩壊させる危険性が極めて大きい.平和的生存権論のより一層の進展が,強く望まれる所以である.
著者
中村 克明
出版者
盛岡大学
雑誌
日本文学会誌 (ISSN:09196889)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.141-148, 1999-03-08