著者
岡室 博之
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.303-313, 2006-10

本稿の目的は,高度成長期における二部市場への新規上場企業のデータを用いて,当時の成長産業における新興中堅企業の経営成果に対する株式所有構造と社長属性の影響を計量的に検証することである.コーポレート・ガバナンスに関する従来の分析は1980年代以降の大企業に集中し,またそこでは企業家(社長)の属性は考慮されていない.本稿は,1964年度末から1971年度末までの8年間にわたる86社のデータをプールして,社長属性(年齢,学歴,持株比率,創業者か否か)と株式所有構造(金融機関と事業法人の持株比率)が利益率にどのように影響するかを分析した.その結果,利益率に対して社長の年齢と持株比率,および金融機関の合計持株比率が有意な正の効果を持つことが明らかになった.この結果は,高度成長期に台頭した新しい中堅企業において,企業家の属性と銀行からの支援がともに重要な成果要因であったことを示唆する.Previous studies on the corporate governance of Japanese firms concentrate on established large companies in the period since 1975 and neglect the effects of CEO characteristics. Using a unique dataset of IPO firms on the second section of the stock exchanges in the 1960s, this paper examines the effects of ownership structure and CEO characteristics on the profitability of emerging middle-sized firms in growing industries during the high-growth period in Japan. The empirical results suggest that both CEO characteristics (age and shareholding) and bank relationships were important success factors for the emerging firms in the 1960s.

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