著者
石坂 宏
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.624-629, 2009-06

サクラソウ科の中にはシクラメン属というグループがあり、その中に22種が存在する。シクラメン属のすべての種は塊茎を作るが、自然分球による栄養繁殖は行わず、種子繁殖を行う。市販されているシクラメンの園芸品種は、22種あるシクラメン属の中のCyclamen persicumという野生種の改良により作出された。C. persicumの野生種は播種後2〜3年で開花個体に成長し、開花できるようになった個体は、2月に開花し、5月に結実して、その後9月まで休眠する。休眠が終了した個体は葉を展開し、翌年の2月に再び開花する。この生育サイクルをくり返し、10年くらい生存する。 C. persicum の野生種は、花弁の長さが約2cm、花色は白、ピンクおよび純白である。主な原産地はトルコ、キプロス、ギリシア、イスラエル、チュニジアであり、1700年頃に原産地から西ヨーロッパに導入され、主にイギリス、オランダ、ドイツ、フランスで栽培と育種が行われた。

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