著者
平田 昌弘
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-14, 2009

コーカサスは、南方の西アジアと北方の中央アジアやヨーロッパを繋ぐ結節点にある。西アジアで牧畜と乳加工が始まり、西アジアの乳加工技術が周辺域に伝播したとすると、中央アジアやヨーロッパヘはコーカサスを経由した可能性は十分にありえる。牧畜を生業基盤とする西アジアの乳加工技術が農業を生業基盤とするコーカサスにおいてどのように変化・展開したかを考察することは、文化の伝播と変遷を論考するにおいて極めて興味深い。また、中央アジアやヨーロッパなどでの乳加工技術の展開過程を分析する上で、コーカサスでの乳加工技術のあり方は極めて貴重な資料ともなる。そこで本稿では、コーカサスにおける乳加工技術の変遷過程を論考するために、グルジアとアルメニアにおいて2008年7月11日〜7月30日まで観察とインタビューにより合計9世帯を調査した結果を報告する。インタビューはグルジアの農牧民にはグルジア語で、アルメニアの農牧民にはロシア語とアルメニア語を介しておこない、乳加工技術と乳製品に関する語彙はグルジア語とアルメニア語でそれぞれ書き取った。本稿の目的は、1)グルジアとアルメニアにおける乳加工体系を把握し、2)周辺地域との比較分析や生態環境の視座からコーカサスにおける乳加工体系の変遷過程を検討することにある。本稿では、乳加工体系を整理・把握するために、中尾の4つの系列群分析法を用いた。つまり、生乳をまず酸乳にしてから加工が展開する発酵乳系列群、生乳からまずクリームを分離してから加工が展開するクリーム分離系列群、生乳に凝固剤を添加してチーズを得る凝固剤使用系列群、生乳を加熱し濃縮することを基本とする加熱濃縮系列群の4類型である。

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