- 著者
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阿部 亮
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.10, pp.969-972, 2009-10
飼料構造論。濃厚飼料と粗飼料。日本標準飼料成分表では飼料を、「生草」、「サイレージ」、「乾草」、「ワラ類および殻類」、「穀類、マメ類およびイモ類」、「植物性油粕類」、「ヌカ類」、「製造粕類」、「動物質飼料」、「非蛋白態窒素化合物・単体アミノ酸」、「酵母類」、「油脂類」、「糖類」、「リーフミール類」、「木質系飼料」、「その他」と分類している。しかし、このような区分での呼び方はあまりしない。日常的には飼料は粗飼料と濃厚飼料の二つに区分され、呼称されてきた。この日本語の由来はおそらく、Concentrate(濃縮)とRoughage(粗)からであろう。行政でも、産業界でも、試験研究・普及組織でも、飼料をこの二つに分断し、それぞれ独自の歩みをさせながら、それぞれの世界を構築し、両者の接近・融合を考えることが少ない環境の中に日本の畜産が置かれ、そのことによってある種、不幸な局面がもたらされてきたのではないかと筆者は考えている。