- 著者
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堀 兼明
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 農業および園芸 (ISSN:03695247)
- 巻号頁・発行日
- vol.85, no.1, pp.60-69, 2010-01
中山間地の小規模野菜産地では、平坦地にくらべて法面や畦道等の比率が高いために、こうした場所に発生する雑草の処理が問題となっている。とくに除草剤を使いづらい有機栽培や減農薬栽培では、雑草処理の問題は一段と深刻である。露地圃場において雑草を土壌にすき込んだ場合、雑草種子等の発芽を抑制するため、夏季にビニルマルチを用いた太陽熱利用土壌消毒(以下太陽熱処理)が行われている。太陽熱処理は、ビニルハウス内では十分な地温上昇が見込まれるために、土壌生息性の病害虫や雑草に対して安定した効果を発揮するが、露地では地温が気象条件に大きく左右されるので、安定した効果が得られる条件を明らかにすることが求められている。そこで、未利用植物質有機物資源である雑草を有効利用するために、夏季の露地畑に刈り取った雑草を積極的にすき込み、ビマニルマルチを用いた太陽熱処理により雑草の種子の発芽を抑制すると同時に、粘質土壌の物理性改善をめざす技術の開発をめざした。