- 著者
-
長田 隆
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.3, pp.357-361, 2010-03
畜産に由来する温室効果ガス。とくに家畜排せつ物起源の排出に関して。集約化、経済的効率化の進んだ畜産経営のもたらす環境負荷は、悪臭や水質汚濁などの地域限定的な影響にとどまらず、地球温暖化にも深刻なダメージを与えかねない重大事項と認識されている。国際機関の報告書によれば、現在、陸上の30%、農業用地の約70%が家畜生産のために使用されており、畜産業活動全体からの温室効果ガス発生は、二酸化炭素等量(CO2eq)で18%に達すると算定されている(FAO2006)。本報では京都議定書対象の6種の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄)のうち、農業活動で顕著な発生が指摘されているメタンと亜酸化窒素の基本的な情報を報告する。とくに、本報告の主な読者である畜産環境関係者の関心事であるふん尿処理に関わるメタンと亜酸化窒素の排出について測定方法と削減技術を重点的に言及する。