著者
長田 隆 中野 千紗 大坪 研一
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.153-159, 2015-06-15 (Released:2015-11-16)
参考文献数
7

常温流通するpH 4.6未満のトマトジュースにおいて,Themoanaerobacterium属芽胞を指標に加熱殺菌条件を算出した結果,121℃,1.5分の加熱処理が必要で,現行の121℃,0.7分は殺菌不足であった.本研究は加熱殺菌条件の緩和を目的に,pHを低く管理することによって,商業的無菌性に及ぼす効果について検討した.トマトジュースのpHを4.4以下に管理できれば,Themoanaerobacterium属芽胞が発育しないため,B.subtilis group芽胞を加熱殺菌指標として,D121℃値は0.12分,z値は11.2℃であり,F121℃値は0.6(D値×5倍)分まで緩和することが可能であった.
著者
内田 丈聖 岡 美里 西原 健 坂谷 洋一郎 長田 隆
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00012, (Released:2023-05-11)

日向夏飲料の微生物学的安全性確保のために,原材料製造工程における日向夏搾汁について,各種細菌芽胞の汚染度を調べた.計11試料において,好気培養では51菌株,嫌気培養では12菌株を分離し,TABについては検出されなかった.また,分離した菌株のうち,Paenibacillus属細菌を最も多く検出し,その他Bacillus属,Paraclostridium属,Clostridium属細菌を得た,これより,これら細菌種が日向夏100%ジュース(pH3.1)中で発育できないため,殺菌指標菌として管理する必要はないことがわかった.今回の実験では検出できなかったTABだが,過去の変敗事例や本菌種の諸性質を考慮すると,殺菌指標菌として検討する必要がある.そのため,今後はTABによる日向夏100%ジュース中での発育試験を行い,発育する場合は,加熱殺菌指標菌として適切な加熱殺菌条件を設定して管理すべきと考える.また,さまざまな野菜汁や果汁を混ぜるミックスジュースでは,pHによってはPaenibacillus属が発育する可能性があるので注意が必要である.
著者
長田 隆
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.167-176, 2001-04-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
97
被引用文献数
4 1

Although there are many unknown portions, about 5% of CH., and about 30% of N2O anthropogenic generation sources, are presumed to be of livestock excrement origin, and the curtailment is expected. However, in actual cases in which the amounts generated were in a real porcessing facility, there was a great disparity in the value obtained. The amount of gas generated from actual treatment processing must be measured more exactly, and generating factors must be analyzed.
著者
長田 隆
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.357-361, 2010 (Released:2011-03-28)
著者
長田 隆
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.357-361, 2010-03

畜産に由来する温室効果ガス。とくに家畜排せつ物起源の排出に関して。集約化、経済的効率化の進んだ畜産経営のもたらす環境負荷は、悪臭や水質汚濁などの地域限定的な影響にとどまらず、地球温暖化にも深刻なダメージを与えかねない重大事項と認識されている。国際機関の報告書によれば、現在、陸上の30%、農業用地の約70%が家畜生産のために使用されており、畜産業活動全体からの温室効果ガス発生は、二酸化炭素等量(CO2eq)で18%に達すると算定されている(FAO2006)。本報では京都議定書対象の6種の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄)のうち、農業活動で顕著な発生が指摘されているメタンと亜酸化窒素の基本的な情報を報告する。とくに、本報告の主な読者である畜産環境関係者の関心事であるふん尿処理に関わるメタンと亜酸化窒素の排出について測定方法と削減技術を重点的に言及する。
著者
田中 康男 長田 隆 代永 道裕 山下 恭広 荻野 暁史
出版者
日本家畜衛生学会
雑誌
家畜衛生学雑誌 (ISSN:13476602)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.157-163, 2013-02

豚死体からの腐敗臭気の発生経過と成分特性把握を目的とした基礎的検討を行った。この結果、半導体式臭気センサーの測定値(臭気レベル)、臭気強度および臭気不快度は、腐敗開始後約一週間でピークに達し、その後急激に低下した。臭気成分としては、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、ノルマル酪酸が検出された。臭気成分の内、アンモニア、二硫化メチル、トリメチルアミンは腐敗死体に消石灰を散布することで若干上昇したが、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチルは散布により顕著に低下した。この結果より、腐敗臭気は消石灰を散布した時点で特性が変化することが示唆された。一方、臭気指数については、消石灰の散布前後でほとんど差が無かった。消石灰散布状態で腐敗した場合と散布せずに腐敗した場合を比較すると、前者の方が臭気発生ピークの出現が遅くなり、しかもピーク高が低くなった。このことから、消石灰散布は、臭気を抑制した可能性が示唆された。臭気センサーで測定した臭気レベルは、官能的な臭気の指標である臭気強度・臭気不快度と有意な相関関係のあることが示唆された。よって、迅速かつ経時的な腐敗臭モニタリングに臭気センサーが有効な可能性がある。