著者
服部 保
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.90-93, 2010-08
被引用文献数
1

里山林は弥生時代以降に照葉原生林や夏緑原生林を伐採して、薪炭供給用に育成された半自然林(二次林)である。古い里山林では3000年に達する歴史を持ち、九州北部より全国に広がり、明治時代には沖縄県から北海道までの大半の丘陵、低山地が里山林化された。服部ほかは里山林の定義を「里山林3原則」とよんでいる。その3原則は以下のとおりである。(1)その地域のもつ伐採周期(8年〜25年程度)に合わせて、里山林が定期的に伐採され、更新(再生)されていること。(2)伐採周期に合わせて輪伐が行われ、その結果として伐採年の異なる林分がパッチワーク状に配列されていること(パッチワーク状植生景観)。(3)柴刈りが行われていること(燃料採取の柴刈りはつる植物や雑木の管理にもなり、良好な里山林維持のための管理作業でもあった)。昭和30年代に始まる燃料革命によって薪、柴、炭の利用が激減し、30年から50年以上里山林は放置され続けている。里山林は、かつての「低林」から「中林」もしくは「高林」に遷移し、種組成・種多様性も大きく変化し、上述の里山林3原則を満足する樹林は兵庫県と大阪府の府県界を流れる猪名川上流域(川西市黒川など)を除いてほとんど絶滅してしまった。このように放置されて変化した樹林を里山林と区別するために里山放置林とよんでいる。

言及状況

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パッチワークの事ではないですか。 http://ci.nii.ac.jp/naid/40017291992

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