- 著者
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大成 清
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.4, pp.448-452, 2011-04
豚の脂肪除去体組織中の鉄含量(ppm)をみると、新生子豚は29しかない。この量は子猫の53%、子兎の21%、人の子供の31%といった具合に非常に少ない。新生子豚はこのように少ないが、成熟豚になると90にも違し、上記動物中では最も多く含むことになる。ちなみに、成熟動物の鉄含量(ppm) は猫60、兎も60、人は74である。新生子と成熟動物の鉄含最比をみると、豚は3.1倍、猫は1.1倍、兎は0.4倍、人は0.8倍となっている。兎と人は減少し、猫は変らずといったところだが、豚は土を食べる動物だけに、物凄く増加するのである。新生子豚はもともと鉄の保有量が少ないうえ、豚乳中の鉄分も少なく、しかも発育も急だし、成豚の鉄保有量も多いので、貧血は起こるべくして起こるわけである。ここで改めて、貧血とは何かということを取りまとめてみたい。幼豚の場合、 血液中のヘモグロビン(g/100ml)は正常時は12、貧血時は5、ヘマトクリット(血液中の赤血球、 %)は35:17、赤血球数(100万/1立方mm)は5:3、赤血球の大きさ(立方ミクロン)は70:55、赤血球のヘモグロビン濃度(%)は35:30となっている。最後は貧血の対策とは何かということだが、幼豚期の鉄剤注射と、それ以後における鉄剤の飼料添加ということになる。