著者
大成 清
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.546-552, 2014 (Released:2014-09-03)
著者
大成 清
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.549-556, 2008-05

最近では環境問題といえば、地球温暖化ということだが、20年くらい前は赤潮が大きく採りあげられていた。アメリカの話であるが、豚糞を繰り返し施用した農地に関する調査では、リンが過剰で窒素も高い場合が多いという。このため、養豚業者の間では飼料の不消化分が、環境に及ぼす影響を心配する声が上がっている。わが国の場合、海水の富栄養化の原因は生活系や、産業(工場)系排水の汚濁負荷の上昇とされているが、家畜に対するリンや窒素(蛋白質)の過剰給与は、いろいろな点からも、改善せねばならない課題である。そこで本稿ではフィターゼの分解率に対する、カルシウムの影響をまず採りあげることにする。
著者
大成 清
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.741-746, 2014-07

コリンは成書にいろいろな説明がなされている。その1つは無色,強粘な液体で潮解性を持つ。水,アルコールによく溶ける。強塩基性で,空気中から炭酸ガスを吸収する。多くの動植物性組織に存在するが,リン酸や脂肪酸などと結合して,レシチンやスフィンゴエミリンと呼ばれるリン脂質となって,脳,卵黄,肝,腎,心臓などに含まれる。動物に蛋白質の少ない,脂肪の多い食物を与えると脂肪肝が起こるが,コリンはこれを防ぐ作用がある。2番目の説明は,ビリノイリン(bilineurine),シンカリン(sinkalin)ともいう。細胞膜の浸透圧の調節,ビタミンB12複合体の一つとして抗脂肪肝因子作用,アセチルコリンとして血圧調節および神経伝達に関与する。欠乏すれば肝臓における多量の脂肪蓄積や腎臓の病変などを招く。3番目の説明を見ると,コリンは脂質の代謝,神経刺激の伝達に関与するリン脂質,およびアセチルコリンの1構成成分である。またコリンは多くの代謝過程に関与するメチル基の供与体でもある。なお,メチオニンを節約し,脂肪肝,出血性腎炎の防止にも有効であるとしている。
著者
大成 清
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.448-452, 2011-04

豚の脂肪除去体組織中の鉄含量(ppm)をみると、新生子豚は29しかない。この量は子猫の53%、子兎の21%、人の子供の31%といった具合に非常に少ない。新生子豚はこのように少ないが、成熟豚になると90にも違し、上記動物中では最も多く含むことになる。ちなみに、成熟動物の鉄含量(ppm) は猫60、兎も60、人は74である。新生子と成熟動物の鉄含最比をみると、豚は3.1倍、猫は1.1倍、兎は0.4倍、人は0.8倍となっている。兎と人は減少し、猫は変らずといったところだが、豚は土を食べる動物だけに、物凄く増加するのである。新生子豚はもともと鉄の保有量が少ないうえ、豚乳中の鉄分も少なく、しかも発育も急だし、成豚の鉄保有量も多いので、貧血は起こるべくして起こるわけである。ここで改めて、貧血とは何かということを取りまとめてみたい。幼豚の場合、 血液中のヘモグロビン(g/100ml)は正常時は12、貧血時は5、ヘマトクリット(血液中の赤血球、 %)は35:17、赤血球数(100万/1立方mm)は5:3、赤血球の大きさ(立方ミクロン)は70:55、赤血球のヘモグロビン濃度(%)は35:30となっている。最後は貧血の対策とは何かということだが、幼豚期の鉄剤注射と、それ以後における鉄剤の飼料添加ということになる。
著者
大成 清
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.547-552, 2013-05

アメリカのDDGS産業の経過をみると,最初に行われたのは湿式法によるエタノール製造である。自動車のガソリンに一部混入するようになってから乾式法による製造が拡大した。この製造法から副次的に排出されるDDGSは,ゴールデンDDGSとして,旧式法とは一線を画すようになった。これでかなり製品の品質は安定するとともに,一段と向上したわけだが,依然として品質は不安定であった。このため,更なる品質の向上を目指して採られた手段は,DDGSのSつまりソリュブルをDDGSから除去するということである。DDGに液状かつ低品質のソリュブルを吸着さすと,その後乾燥に更なる加熱を要し,リジンの品質低下や,全般的な消化率の低下を招くというのである。この結果,DDGSではなく,DDGが一部上市されるようになってきた。これで一応の終結をみたかに思えたが,実はそうではなかった。今度はアミノ酸バランスの一層の改善と,含有カロリーの向上を目指して,エタノールの発酵工程に入る前に,原料トウモロコシの脱外皮,脱胚芽を行い,CP41%という高蛋白質DDGを生産するわけである。以上のようにアメリカのDDGならびにDDGS産業は,品質の向上を求めてどこまでも発展してきた。アメリカを始め,いろいろな国ではバイオエタノールの生産に鎬を削っているが,これとは別に,今アメリカではシェール・オイル(chale oil)の生産が話題になっている。油母頁岩(オイル・シェール)というのがある。アメリカの内陸各地で石油を含んだ岩石が探査され,すでに採油も始まっているという。これが実用化すれば燃料革命が起るわけで,食糧用穀類からエタノールを製造するという,迂遠な道を辿らなくても済むことになる。オイル・シェールは油母(ゆも)頁岩,瀝青ケツ岩とも呼ばれ,北アメリカ,オーストラリア,スコットランドや,中国東北部(旧満州国)に古くから産出していた。中国東北部にあったのは,満鉄撫順炭鉱で,満鉄にはかつて筆者も勤務していたことがあり,郷愁の地である。撫順炭鉱(東西47km,南北4km,埋蔵量10億トン,従業員3万2千人)は,有名な露天掘りの炭鉱で,石炭層の上層に頁岩が厚く覆われていた。しかし頁岩中の油分は微量で,レトルト中で乾留した場合の収油率は,平均約5.5%といわれ,当時の技術レベルでは実用化は無理とされていた。アメリカでは地中深くから,オイルだけを採取する新技術を開発(ノースダコタ州,バッケン油田)したようで,一挙に注目を浴びている昨今である。