- 著者
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野林 厚志
- 出版者
- 日本SPF豚研究会
- 雑誌
- All about swine (ISSN:0918371X)
- 巻号頁・発行日
- no.39, pp.17-22, 2011-09
本稿では中国福建省とイベリア半島の事例を通して、商業的な食肉の生産が行われ、人間が動物を屠る光景が希薄になっていく現代の食肉生産、流通事情の中で、文化的な所産としての家畜動物の存在とその飼養が世界の各地で見られるということを紹介した。こうしたブタは経済的、イデオロギー的、宗教的.人間社会のあらゆる側面において深く関わってきた家畜動物である。ブタをめぐる人間の態度には、積極的にその利用を促す正の象徴化と、接触すらも禁じる負の象徴化の両方があり、それらは時には混在してきたのである。これらを理解するためには、実際にブタが人間によってどのような扱われかたをしているかについて個々の事例を検証していく必要がある。