著者
海部 陽介 篠田 謙一 河野 礼子 米田 穣 後藤 明 小野 林太郎 野林 厚志 菅 浩伸 久保田 好美 國府方 吾郎 井原 泰雄
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、旧石器時代の琉球列島に現れた人々がどのように海を渡ってきたかについて、その理論的枠組みを定めるため、文理問わず多彩な分野の研究者が情報を共有して、総合的モデルをつくることを目指した。彼らは草・竹・木のいずれかを素材とした漕ぎ舟に乗り、男女を含む少なくとも10人程度の集団で、黒潮の流れる海を、漂流ではなく意図的に航海してきたと考えられる。このモデルを、現在進行中で連動して行なっている実験航海に反映して、当時の航海を再現してみれば、そのチャレンジがどれだけ困難なものであったのかが見えてくるであろう。
著者
野林 厚志
出版者
日本SPF豚研究会
雑誌
All about swine (ISSN:0918371X)
巻号頁・発行日
no.39, pp.17-22, 2011-09

本稿では中国福建省とイベリア半島の事例を通して、商業的な食肉の生産が行われ、人間が動物を屠る光景が希薄になっていく現代の食肉生産、流通事情の中で、文化的な所産としての家畜動物の存在とその飼養が世界の各地で見られるということを紹介した。こうしたブタは経済的、イデオロギー的、宗教的.人間社会のあらゆる側面において深く関わってきた家畜動物である。ブタをめぐる人間の態度には、積極的にその利用を促す正の象徴化と、接触すらも禁じる負の象徴化の両方があり、それらは時には混在してきたのである。これらを理解するためには、実際にブタが人間によってどのような扱われかたをしているかについて個々の事例を検証していく必要がある。
著者
野林 厚志 野林 厚志
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.407-437, 2019

本稿の目的は,台湾において甘味を嗜好する食文化が形成された過程をその基盤をになった砂糖の歴史生態を視点に組み込みながら明らかにすることである。台湾社会における甘味をもった飲食物の定着,経済構造の変化や健康意識の変化の過程を,主として歴史文献や民族誌的記述,砂糖生産に関する諸資料をもとに推論してみたい。特に,植民地統治期(1895 ~ 1945 年)における甘味をもった食文化の定着とそれを支えた砂糖生産の確立する過程を示す。現在,台湾における糖質の過剰摂取の一つの要因とされている泡沫紅茶や加糖果汁に台湾の人たちが親しんでいったのは,種類は違えど,砂糖を用いた甘味飲食物が台湾社会全体に定着していく歴史生態学的な背景があったことが理解できる。This paper presents a description of how Taiwanese people have come toprefer sweet foods and beverages from the perspective of historical ecologyof sugar, which has an important role in preference. The process of consolidatingsweet foods and beverages in Taiwan society and the changes of economicstructure and health consciousness are discussed using historical sugarproduction records and ethnographic descriptions of foods recorded duringJapanese colonial periods (1895–1945). Taiwan has a historical ecology bywhich people tasted sweet foods and beverages, producing the background ofthe present day: Taiwanese people continue to prefer sweet drinks such asbubble tea.
著者
野林 厚志 Nobayashi Atsushi ノバヤシ アツシ
出版者
弘文堂
雑誌
新・食文化入門. 森枝卓士, 南直人編. 弘文堂, 2004, p.134-151
巻号頁・発行日
pp.134-151, 2004-10-15 (Released:2017-03-06)

新・食文化入門