著者
西 教生 北垣 憲仁
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.129-145, 2011

里山環境の保全のための基礎資料を得ることを目的に、都留市十日市場および夏狩において2008年4 月~2011年3 月までの3 年間に鳥類の生息状況の調査を行なった。環境の異なるA コースおよびB コースの2 コースを設定し、月1 ~ 3 回、ラインセンサス法によって出現した鳥類の種名、個体数、出現環境、行動を記録した。その結果、A コースでは44種、B コースでは51種の鳥類が確認された。重複している種を除くと、2 コースで61種が確認された。これは、山梨県内で記録されている鳥類の23.5%にあたる。61種の内、ハイタカ、サシバ、クマタカはそれぞれ環境省および山梨県の、クロジは山梨県のレッドデータブックに記載されていた。スズメ、ヒバリ、ツバメ、タヒバリ、コジュケイの5種は興味深い出現パターンを示した。多くの鳥類が記録された理由としては、農耕地(Aコース)と樹林帯やススキ草原、河川(B コース)といった多様な環境が隣接した場所にあること、樹林帯は孤立した林ではなく、河川に沿って帯状に連続して広がっていることが推測された。また、河川、ススキ草原、樹林帯といった環境が帯状に広がるという地形が、多くの鳥類に生息地を提供していると思われた。繁殖期と非繁殖期の種類数に有意な差はないが、非繁殖期のほうが多い傾向を示すことが当調査地の特徴であり、年間を通して種類数が大きく変化をすることはなく安定していた。月別平均出現種類数は有意な差があり、その要因は夏鳥が少ないことであると考えられた。周辺環境の変化を示す可能性のある種として、A コースではサシバ、コチドリ、ノビタキ、コムクドリなどが、B コースではサシバ、ビンズイ、ヤブサメ、エゾムシクイなどの旅鳥が挙げられる。

言及状況

Twitter (1 users, 2 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 都留市湧水群地域における「里山環境」の総合評価に関する研究(4)十日市場・夏狩地域における2008〜2011年の鳥類調査結果について(西 教生ほか),2011 https://t.co/P3YOlECepG
こんな論文どうですか? 都留市湧水群地域における「里山環境」の総合評価に関する研究(4)十日市場・夏狩地域における2008〜2011年の鳥類調査結果について(西 教生ほか),2011 https://t.co/P3YOlECepG

収集済み URL リスト