- 著者
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高橋 幸子
伊良波 理絵
宮里 智子
- 出版者
- 沖縄県立看護大学
- 雑誌
- 沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
- 巻号頁・発行日
- no.13, pp.61-71, 2012-03
【目的】本研究は、研究者が企画した「健康自主管理プログラム」を、看護学生を対象に実施し、そこでの学生の主観的体験を明らかにすることを目的とする。【研究方法】研究対象者は、A看護大学1年生で、プログラムへ参加した者である。プログラム期間の8週間、参加者は各自目標を立て、生活記録や万歩計など、研究者が準備した取り組み手段の中から必要なものを選択し、取り組んだ。プログラム終了後、個別に半構成的面接を行った。面接の逐語録を精読し、発言の意味内容を抽出し、主観的体験として取り出した。【結果】プログラム参加者は8名で、年齢は10代後半から20代後半、全員女性であった。分析の結果、抽出された学生の体験は以下である。学生はプログラムを通して、≪自身の生活習慣を自覚≫または≪他者の体験から生活改善の必要性を自覚≫し、≪生活行動が変化≫していた。そして≪生活行動が変化≫したことにより≪自覚症状の改善≫がみられ、≪生活習慣と健康状態のつながりを実感≫していた。また、≪自分の体に親しみがわく≫体験をしたものもいた。プログラムに参加して大変だった点は6名が≪記録の煩わしさ≫をあげていた。その他、≪継続する意志の持続≫≪自分の思う通りに生活改善や減量が進まないこと≫があった。【考察】看護は、より良い健康状態を目指し生活過程をととのえる仕事であることから、看護学生が自身の体験を通して≪生活習慣と健康状態のつながりを実感≫したことは看護学教育において意味があることと考える。また、生活調整が必要な対象への援助を行う際に、このプログラムでの体験が活かされると考える。しかし、看護者としての役割を果たすためには、参加者が困難を乗り越え、生活調整を継続する体験ができるよう、プログラムを改善していくことが求められる。Objective】This study aims to explain subjective experience of nursing students who participate in "Selfcare Health Program" planned by researchers. 【Method】The research subjects are first-year nursing students in a nursing collage who participate in the program. The participants decide their own goals, and then select and practice the tools (ex. life document, pedometer, and so on.) during the program period (8 weeks). Data were collected by semi-structured interviews and analyzed qualitatively after the program. 【Results】8 female nursing students participated in the program. The program allowed the participants to experience: "awareness of own lifestyle" "awareness of the necessity for better living from the others' experience" "change of life action" "improvement of subjective symptoms" "realization of relation between a lifestyle and health status" "familiarity with own body". 【Discussion】Nursing guides someone's lifestyle toward a healthier state, so that "realization of relation between a lifestyle and health condition" is important for nursing education. The challenge is to develop the program wherein participants can overcome difficulty and manage their lifestyle.