- 著者
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韓 慧
- 出版者
- 山口大学大学院東アジア研究科
- 雑誌
- 東アジア研究 (ISSN:13479415)
- 巻号頁・発行日
- no.10, pp.1-24, 2012-03
- 被引用文献数
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近年、少子・高齢化の進展や医療技術の進歩により看護師へのニーズが高まり、医療現場では看護師不足問題が深刻になっていると指摘されている。それでは、日本における看護師不足問題が深刻だと叫ばれてきたのはどのような理由からであろうか?その理由を語るには、日本の看護師不足がどのような状況にあるか、その実態を明白にしなければならない。本稿の目的は、マクロデータを整理し、分析することによって、日本の看護師不足の実態を多様な側面から明らかにすることである。本稿は、初めに研究背景と目的を述べ、第2説では先行研究や調査データをもとに、看護師の需給見直しの問題点、看護師需給状況に関する国際比較、就業場所別不足と地域別・規模別による看護師偏在など、多様な側面から看護師不足の実態を明らかにした。また、量的な不足だけでなく、看護師の若年化の進展や高い離職率によって、熱練看護師が十分に育たず、看護の質の低下につながる恐れがあるとわかった。次に、第3説では、看護師の離職間題と離職理由に関するデータをまとめ、看護師の人材流出の現状をみる。加えて看護師免許の所有者の3割を占める潜在看護師が復職した理由についてみる。第4節では、これまで発生した看護師不足に対して、政府が打ち出した対応策とその効果をまとめる。最後の結論では、日本の「看護師不足」の中身を明らかにした上で、これまでの看護師不足対策の問題点、更に今後どう見直すべきかの展望について検討する。本稿の考察結果から、日本の看護師不足は今後さらに深刻になる恐れがあると判明した。これは、日本政府は今後、看護師問題を重視し、看護師のワーク・ライフバランスの達成に向けて支援対策を十分に行うことが重要であると示唆する。