著者
江島 尚俊
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 = Journal of religious studies (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.571-595, 2014-12

現代日本に生きる我々は、大学という高等教育機関において宗教が学べ、宗教を研究できることを自明なものと認識している。しかし、近代的な大学制度が無かった明治以前において、その認識は成立し得なかった。そこで本稿では、この認識を"新しい自明さ"と設定した上で、それを成立せしめた制度的条件の解明を行っていく。方法としては、高等教育制度史および教育政策史の観点から、明治期の文部行政、および文部省と宗教系専門学校の関係に焦点を当てていく。最初に、明治前期の文部省が有していた専門学校に対する消極性、および宗教系諸学校に対する忌避意識を明らかにする。次に、宗教系諸学校に対する方針転換をした文部省が明治三〇年代になって制定する私立学校令・専門学校令を契機として、高等教育の中に宗教を学び、研究するという体制が拡大していくことを論じる。結論としては、宗教系専門学校が近代教育制度の中において、宗教を学問的に教育・研究する学校と位置づけられていったことを明らかにする。

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