- 著者
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菅原 七郎
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.3, pp.253-259, 2015-03
有袋類の発生は真獣類と比べて卵子の外囲構造(膜状構成),卵割の様式,卵管下降速度,着床,胎子形成と妊娠期間などの点で大きく異なり,有袋類の種保存と継代をする上での相対的に優位な繁殖戦略を持っていると考えられる。a) 卵子の形成と特性 有袋類のうちでキタオポッサム,フクロネコ,チャアンテキヌス,コアラなどで卵胞内での成長,成熟過程の組織学的研究が行なわれている。i) 卵子の成熟と排卵 上記の4種では第1卵母細胞は真獣類の卵子と同様に第一成熟分裂前期の複線期(卵核胞)で休止しており,第二成熟分裂の中期に至り排卵される。しかし,第2卵母細胞(M-II)からの卵胞細胞の消失時期が真獣類のそれとは全く異なり,排卵前か排卵直前に消失してしまう。