著者
後藤 千穂 徳留 裕子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.35-40, 2003-05-29

留学生から身体の不調をきくことが多い.その要因として生活習慣の違いや環境の変化に伴うストレス等が考えられる.本研究ではアイルランドのゴールウェイ市の留学生を対象に健康調査を行い,身体不調の実態と生活習慣の変化との関連について検討した.調査協力の得られた留学生は92名(男性24名,女性68名)で,平均年齢25.6歳,平均アイルランド滞在予定期間は13.3週であった.対象者の国籍は,スイス26.1%,日本23.9%,スペイン19.6%の順で多かった.また,滞在形式はホームステイが85.9%と最も多かった.生活習慣の変化をみたところ,飲酒量は「増えた」が42.0%であり,喫煙量は「減った」が37.0%であった.食事量は「増えた」が41.3%で,摂取が増えた食品として「多脂性食品」や「甘い食品」が多く,反対に摂取が減った食品は「野菜」「果物」であった.体調の変化は「悪くなった」が32.6%で,3人に1人が身体の不調を感じていた.また,これらの生活習慣の変化および身体の不調について,国籍・滞在日数による差はみられなかった.生活習慣のうち,身体活動量,飲酒量および食事量と体調の変化との関連をみた.その結果,食事量が「増えたまたは減った」群では,「変化なし」群に比べ,体調が悪くなっており,特に野菜の摂取量が「減った」群では有意に体調が悪くなっていた.また,生活習慣の変化と身体症状数との関連を検討したところ,食事量の「変化なし」群の方が,身体症状も少ないという結果が得られた.以上の結果より,身体の不調の原因として,生活習慣のうち,食事の量,特に野菜摂取の重要性が推察された.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? アイルランドゴールウェイ市における留学生を対象とした健康調査(後藤千穂ほか),2003 http://id.CiNii.jp/BFGcRI

収集済み URL リスト