著者
後藤 千穂 徳留 裕子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.81-86, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

食物繊維は, 食物残渣の腸内通過時間を短縮させ, 排便を促し, 便秘を予防する.これにより, 腸へのがん物質の暴露が抑えられ, 最近増加している大腸がんや大腸憩室症などの発生を抑制する可能性がある.排便習慣・便秘に関する研究では, 便秘は女性, 特に, 若い女性に多くみられる.そこで女子短期大学生136名を対象に排便習慣について実態調査を行い, 生活習慣との関わりについて検討した.排便習慣の結果を実態調査より, 排便日数3日/週以下を「便秘」群, 6日/週以上を「快便」群, その中間である4〜5日/週を「便秘気味」群として分類した.対象者の排便頻度は「便秘」群が22.9%, 「便秘気味」群30.5%, 「快便」群46.6%であった.生活習慣との関連をみたところ, 朝食に欠食のあるものほど便秘・便秘気味であった(p<0.01).また, 食事時刻・排便時刻・生活リズムが不規則で, 運動習慣がないものほど便秘傾向にあった.
著者
今枝 奈保美 徳留 裕子 藤原 奈佳子 永谷 照男 構 実千代 恒川 鈴恵 佐藤 信子 時実 正美 小出 弥生 宮井 好美 牧 信三 徳留 信寛
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.67-76, 2000-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
26
被引用文献数
2 11

本報では, 107人の栄養士を対象に, 四季, 各季連続7日間の秤量法食事調査において, 記録原票の内容確認面接, 入力過誤修正の方法, 食品成分表の取り扱い, 食品のコーディング, 重量換算, 主要料理の標準レシピなどを検討したので報告した。延べ2,925日の食事記録は, 149,187行の食品コード・重量データとしてコーディングされ, 総出現食品数は1,160食品であった。成分表未収載食品や調理済み食品などのコード化が困難な事例は414食品あり, 今後の食事調査で参照するために分類整理して処理した。入力過誤の修正は, 目視により原票を照合した後, 各食品コードごとに生じやすい過誤の例を,“入力過誤検索用食品一覧データベース”にして, 食品コード・重量データを検索し修正した。その結果, 春期・夏期のデータでは, 73,266行中1,112行の過誤データが見つかり, 特に食品コードの修正に効果があった。大量の入力データの過誤修正にはコンピュータ検索が不可欠であった。食品コーディングや重量換算の精度を保つためには, 記録を確認する面接や詳細なマニュアルが必要であった。フォローアップ成分表未収載食品の取り扱い方法によって, 脂肪酸, 食物繊維摂取量を過小評価, あるいは過大評価する可能性があった。秤量法食事記録調査における入力過誤の修正と調査方法の標準化が必要であることが示唆された。
著者
角田 香澄 伊藤 正江 柵木 嘉和 坪内 美穂子 徳留 裕子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.164, 2006

【目的】近年、放課後の児童の生活習慣は、塾に通うなど以前に比べて大きく変化してきた。また、食の欧米化や生活習慣の変化にともない児童の嗜好性も変化してきた。食環境については、スナック菓子摂取量の増加、外食や調理済み食品、レトルト食品の使用等により、児童の嗜好性も変化してきたと思われる。学校給食の残食率は、嗜好性と同様に食環境と密接に関係しているといわれている。そこで、本研究では、主食に重点をおき、残食率と喫食環境との相互的な関係を知ることを目的にアンケート形式による、嗜好等の調査および喫食状況(残食率)を調査した。<br>【方法】現在の児童の嗜好を知るために愛知県一宮市の小学生3040名(男子1537名、女子1503名)を対象にアンケート形式による嗜好等の調査を行った。また、小学校給食の残食率の調査を行った。<br>【結果・考察】嗜好等の調査を「全国児童生徒の食生活等の実態調査」と比較した。全国調査の結果では、最も好まれる献立は、カレーライスであった。一宮市の児童も同様に、カレーライスを最も好むと答えた。嫌いな食品については、全国調査の上位10品目の結果は、その中の8品目が野菜であったのに対し、一宮市の児童も全国同様、野菜が上位をしめる結果であった。また、嫌いな料理の傾向も同様の結果が得られた。全国調査の嫌いな献立の1位は、野菜サラダであり、一宮市の児童も野菜の入った献立を好まない結果であった。2.米飯の月別残食率は、6月から9月にかけて高い傾向を示した。真夏などの暑さや湿度の影響を強く受けていると思われる。嗜好と残食率の関係については,好まれる献立である「カレーライス」について比較した。特にカレーライス時の残食率は5%と低いが,湿度が高く蒸し暑い時期には,8.7%と高い傾向を示した。給食の献立と気候は喫食状況に大きく関係する傾向が示唆された。
著者
今枝 奈保美 後藤 千穂 加藤 利枝子 服部 奈美 山本 和恵 小田 敦子 田中 秀吉 藤原 奈佳子 徳留 裕子 徳留 信寛
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.229-240, 2011 (Released:2011-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

【目的】地域在住高齢者のビタミン摂取量分布を観察し,摂取量評価や栄養計画がまだ十分に実践されていないビタミン群(α-カロテン,β-カロテン,β-カロテン当量,クリプトキサンチン(以下Cry),葉酸,V.B6,V.B12,V.E,パントテン酸)と,従来から評価されてきたビタミン4種(V.A, V.B1, V.B2, V.C)との相関を観察し,栄養計画の効率化を検討する。【方法】健康な地域在住高齢者242人を対象に,隔日4日間の食事を調査し,ビタミン摂取量の分布,分布を正規化する変換係数,個人内分散と個人間分散の分散比を観察した。ビタミン間の関連はデータを正規化後,エネルギーを調整した偏相関係数で評価した。【結果】不足者割合が高かったのは,V.A, V.B1, V.B2, V.B6, V.Cであった。個人内/個人間の分散比はV.D,V.B12 で男女とも高値,V.K,葉酸,V.C,は男性で低値,V.B2 は男女とも低値であった。次にV.B2 の摂取量はV.B6,葉酸,パントテン酸の摂取量と相関が高く,V.CはV.K,V.B6,葉酸との相関が高かった。V.AとCryの相関は低かった。【結語】偏相関係数の観察から,4種のビタミンを増やすよう食事計画すると,β-カロテン,レチノール,V.K, V.B6,葉酸,パントテン酸の摂取増加が期待できるが,Cry, V.D, ナイアシン,V.B12 に関しては独立した食事計画が必要であることが示唆された。
著者
庄司 吏香 三ツ口 千代菊 早瀬 須美子 熊谷 佳子 徳留 裕子 山中 克己 早川 弘子 淡路 比呂代 野中 千秋 河合 光久 藤木 理代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.249-257, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
43
被引用文献数
1 1

This study aimed to clarify the influence of dietary habits and the daily intake of fermented milk product containing Bifidobacterium breve strain Yakult, 1.0 × 1010 cfu/100 mL/day on bowel habits in healthy young Japanese women. To clarify the interaction of a fermented milk product containing Bifidobacterium breve strain Yakult, 1.0 × 1010 cfu/100 mL/day, and food intake on bowel habits in healthy young Japanese women. A total of 150 female university students participated in this study. They recorded the amount of food intake using a food-frequency questionnaire (FFQ) during the pre-experiment period and bowel habits in a diary during the study. After the exclusion of 30 subjects who defecated every day, 120 subjects were randomly divided two groups.Pre experiment they recorded the amount of food intake using food-frequency questionnaire (FFQ) and bowel habits. After excluded 30 subjects who defecated every day, we divided two groups. We conducted an open cross-over ,study, which was composed of a non-intake period (4 weeks), a washout period (2 weeks), and an intake period (4 weeks). Sixty-two subjects, who completed the study and fully recorded in a diary, were included in the analysis. We conducted an open cross-over study. The study period was 10 weeks including a non-intake period, washout period, and an intake period. During the intake period the defecation frequency was increased from 72.2 ± 18.6 to 77.7 ± 18.8% (p < 0.01). The Bristol Stool Scale was increased from 3.2 ± 0.8 to 3.4 ± 0.9(p < 0.01). As assessed by a 5-point Likert scale, the average scores of straining and feeling of incomplete evacuation was decreased from 2.0 ± 0.8 to 1.7 ± 0.7 (p < 0.01). As assessed by a visual analog 10-point scale, the average scores of constipation awareness was decreased from 4.1 ± 2.0 to 3.3 ± 1.9 (p < 0.01). In contrast, tThe amount of calorie intake was remarkably smaller than that in recommended value (1532 ± 314 v.s.1950 kcal). Especially the consumption of potato, beans, vegetable, and fruits were smaller than recommended value. The defecation frequency during the intake period was positively correlated with each amount of calorie intake and carbohydrate intake(each p < 0.05)but not with the amount of dietary fiber intake. These findings suggest that a daily intake of fermented milk containing Bifidobacterium and an adequate food intake might provide benefits improving the bowel habit in healthy young Japanese women.
著者
後藤 千穂 徳留 裕子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.35-40, 2003-05-29

留学生から身体の不調をきくことが多い.その要因として生活習慣の違いや環境の変化に伴うストレス等が考えられる.本研究ではアイルランドのゴールウェイ市の留学生を対象に健康調査を行い,身体不調の実態と生活習慣の変化との関連について検討した.調査協力の得られた留学生は92名(男性24名,女性68名)で,平均年齢25.6歳,平均アイルランド滞在予定期間は13.3週であった.対象者の国籍は,スイス26.1%,日本23.9%,スペイン19.6%の順で多かった.また,滞在形式はホームステイが85.9%と最も多かった.生活習慣の変化をみたところ,飲酒量は「増えた」が42.0%であり,喫煙量は「減った」が37.0%であった.食事量は「増えた」が41.3%で,摂取が増えた食品として「多脂性食品」や「甘い食品」が多く,反対に摂取が減った食品は「野菜」「果物」であった.体調の変化は「悪くなった」が32.6%で,3人に1人が身体の不調を感じていた.また,これらの生活習慣の変化および身体の不調について,国籍・滞在日数による差はみられなかった.生活習慣のうち,身体活動量,飲酒量および食事量と体調の変化との関連をみた.その結果,食事量が「増えたまたは減った」群では,「変化なし」群に比べ,体調が悪くなっており,特に野菜の摂取量が「減った」群では有意に体調が悪くなっていた.また,生活習慣の変化と身体症状数との関連を検討したところ,食事量の「変化なし」群の方が,身体症状も少ないという結果が得られた.以上の結果より,身体の不調の原因として,生活習慣のうち,食事の量,特に野菜摂取の重要性が推察された.