- 著者
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太田 鉄也
吉川 馨
松本 由奈
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- 日本地球惑星科学連合2016年大会
- 巻号頁・発行日
- 2016-03-10
2016年度日本ジオパークネットワーク全国大会の開催地は伊豆半島ジオパークである。当ジオパークでは、フィリピン海プレートの動きと共に伊豆の北上及び本州への衝突という、島弧-島弧衝突の過程を、海底火山や陸上火山活動(独立単成火山群を含む)、南方系生物化石など、多様なジオサイトから知ることができる。また、温泉や海山の幸があふれ、首都圏からの観光客が多い地域である。このような地域で開催される全国大会では、来訪者は何を求め、地域に何を残すことができるのか。私たちは大会コンセプトを「連携:つながりを作ろう、深めよう」に定め、特に以下の3つのテーマで内容を深めていこうと考えている。1)ジオパーク同士の連携各ジオパークの背景にある「日本固有の物語」や「列島誕生と各地域の物語」のつながりを探り、世界に発信していくべき物語は何かを考える。(これは伊豆半島ジオパークが世界に向けた課題とされているものでもある)さらに、近接する箱根ジオパークと連携したジオツアーを行う2)世界遺産やエコパークとの連携伊豆半島とその近接地域には、世界文化遺産「富士山」及び、同じく世界文化遺産である「明治日本の産業革命遺産」の構成資産(韮山反射炉)が存在する。また、静岡県という規模まで視野を広げると、南アルプスエコパークや世界農業遺産「静岡の茶草場」も存在する。保全、教育、住民参加を促す仕組みなど、世界遺産やエコパーク等と共通する課題と手法について情報を共有し連携の可能性を探る。3)食とジオの連携当ジオパークでは、ジオパークの活動に賛同する法人や個人を応援会員やサポーター会員として募り活動の裾野を広げている。これらの会員には地元の商店主や旅館ホテル等様々な業態が存在するが、全国大会の会場で彼らと連携し、地域の食を紹介することを検討している。当ジオパークは、面積2,027k㎡(海域を含む、陸域で1,585k㎡)の中に15の市と町で構成される広域のジオパークである。事務局は各市町及び県から派遣された職員によって構成され、行政組織と絶妙な距離感を保ちつつ運営がされている。また、推進協議会が認定したジオガイドが自らの意思でジオガイド協会を立ち上げ各地のジオパークと交流を図るなどジオガイドの活動が熱心な地域でもある。さらに、地域の小中高校では教師と事務局の専任研究員が連携して熱心な教育活動が行われている。このような広域の行政区域でどのように意思決定を行い、大会を運営していくのかも今後の当ジオパークに課せられた大きなチャレンジである。