著者
井尻 暁 谷川 亘 村山 雅史 徳山 英一
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

近年、画像解析処理の向上により、デジタルカメラ等で撮影した多視点画像からの対象物の三次元形状復元(Structure from Motion = SfM)が精度良くできるようになってきている。地理学や考古学分野ではこの手法を取り入れて、ドローン撮影による地形データの取得や考古遺構調査の記録に活用されている。水中の調査でも戦争遺跡や珊瑚の記録等で同技術が応用されつつあるが、まだ事例が多いとはいえず、問題点もあまり整理できていない。一方、高知大学と海洋研究開発機構は、684年の白鳳地震により一夜として沈んだとされる村「黒田郡」の謎を明らかにするために、高知県沿岸部海底の調査を実施している。その海底調査では、海底対象物の形状を精度よく計測・記録する必要があるが、これまで音響調査や潜水士による測定方法で実施してきた。しかし、対象物が非常に浅部にある場合や小さい場合、こうした調査手法では精度良いデータは得られない。一方、SfM写真測量技術を用いれば、上記問題を解決できる可能性がある。そこで本研究では、黒田郡の海底調査で得られた画像データを用いてSfMによる対象物の三次元形状復元を試みた。また、海底から採取した試料を簡易プールに移して、水中画像によるSfMの問題点を評価した。撮影カメラはオリンポスのTGシリーズを用いた。また、3Dモデルの構築はAgisoft社のmetashapeを用いた。野見湾の海底で撮影した約30枚の水中画像により、高解像度の3次元海底地形データを再構築することができた。一方、野見湾で見つかった蛸壺は、視界がわるく、精度の良い3次元形状の復元はできなかった。本研究では、爪白海底で見つかった石柱と野見湾の蛸壺を用いて水中と陸上で撮影した条件による3Dモデルを比較して違いを考察する。また、陸上においても撮影が難しい光に反射しやすい対象物の撮影方法についても検討する。本研究の一部は高銀地域経済振興財団の助成金により実施された。

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[HQR05-P03] デジタルカメラで撮影した水中画像を用いた水中構造物の3次元計測:黒田郡研究を例に https://t.co/gDAlSXK5AA https://t.co/j8q6K1M1S7

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